<投手分析> 先発…パウエル、岩隈、高村、バーン、高木、加藤、前川、藤崎、山村 右中継ぎ…愛敬、三澤、松本、島田、寺村 左中継ぎ…山本、吉田、小野、有銘 クローザー…岡本、宮本 大塚が結局キャンプにも参加せず、今期の戦力としては考えられない状況になった。そのこと自体は予定通りと言えるが、いつまでも宙ぶらりんのままチームに籍を置かれても士気に関わる。開幕に間に合わせろとは言わないから、投げられるものなら近鉄の為に投げてください。あなたの必殺・縦スライダーが見れないのは、一ファンとしてやっぱり寂しいです。 取り敢えず大塚を抜きで考えると上記のような顔触れになる。昨期の規定投球回数到達者が最多勝のパウエル、22歳の岩隈の2人。ムラっ気の強い高村と前川、38歳の加藤、足踏み状態に入ってきた山村という辺りに過剰な期待は寄せ辛いが、カーブに持ち味のある高木、ストレートのキレ味がいい藤崎、剛球右腕の松本、守護神候補の宮本という若い世代に期待が持てる分、絶望的に悪い陣容ではない。 かと言って、計算の立つ投手陣とも言えないのが実情。岡本がクローザーに回れば、中継ぎの弱体化は如何ともし難いレベル。三澤や山本という使い勝手のいい投手はいても、ここ一番で送り出せる投手は岡本以外は不在。大塚のいないリリーフ陣という現実は、「苦しい時の岡本頼み」という目論見も潰すことになる。 そうでなくとも、岡本の勤続疲労は現実的な問題。こうなれば投手陣全体で凌いでいくしかない。宮本の大化けがあれば台所事情は随分変わってくるが、それが見込めないなら、少しでも岡本頼みの現状を脱皮する為に、先発完投・中継ぎ強化という重い宿題をシーズン通して消化していく必要がある。 診断…若い世代の台頭はかなり期待値が高い。岩隈の活躍が刺激になって高木や藤崎のローテーション入りを促せば、やりくりはかなり楽になる。昨期のチーム完投数は、ヤクルトの8に次いで12球団ブービーの9。岡本の負担を軽くする決め手はここにあるのでは。 <野手診断> 1(中)大村 2(二)水口 3(左)ローズ 4(三)中村 5(右)磯部 6(一)吉岡 7(指)川口 8(遊)阿部 9(捕)鈴木 控え 捕手…的山、藤井、北川 内野手…武藤、前田、高須、星野、五十嵐 外野手…鷹野、森谷、益田 中村が二転三転の末にFA残留。色々と言いたいことはあるが、チームにとってこの上ない朗報だったのは間違いない。中村がもし退団していれば、ポジションの変動も含めてチームの歯車が完全に狂う可能性もあった。ローズ―中村のクリーンナップがあるからこそ、リーグ最下位の投手事情が致命傷にならずに済むからだ。 とは言っても、昨期のチーム打率は.258でリーグ3位。看板の本塁打も177本で、183本の西武に首位を明け渡した。.280で211本塁打だった01年に比べると、どの数字も軒並み下落傾向。 01年がちょっと異常な数字だったということもあるが、裏を返せば、異常な数字を叩き出さなければ弱体投手陣をカバーできないということだ。防御率自体は、01年の4.98から3.93と1点以上も改善してる。にも関わらず2位に甘んじたのは、それだけいてまえ打線の失速が大きかったということでもあり、痩せても枯れてもいてまえ打線頼みという近鉄の脆さも表している。 とは言っても、水物と言われる打線。01年ほどの爆発的な数字を稼げというのも、少し現実離れした話。得点力をアップさせるには、いてまえ打線にスピードをプラスさせることが最優先事項。 昨期のチーム盗塁数は32で、5位ロッテの57と比べてもダントツの最下位。01年も35個だから、この盗塁難という事情はどうにかしたい。01年は余計な盗塁がなくても殺人的攻撃力で走者を還すことができたが、ああいう状態はそうそう望めないと思った方がいい。 診断…中村の残留で一応いてまえ打線の面目は保てそうだが、それにあぐらをかいて昨年と同じ野球をやるのでは、得点力アップは神懸りに任せるということになる。カギは盗塁も含めた走塁レベルの向上。98年に23盗塁の大村が、昨期は盗塁僅か1つ。走れる武藤の復活、ウエスタン敵なしの快速男・森谷の台頭あれば体質も変わりそう。 <総合分析> 地力はついてきたが、磐石と言える戦力は整っていない。これで中村がいなかったらと思うとゾッとしないが、残留したのだから中村には01年ぐらいの数字は課したいところ。 投手陣は注入すべき若さがあるからまだ救いがあるが、野手陣には森谷ぐらいしかいないのが悩みどころ。次世代のいてまえ打線を担う筈だった吉川元と中濱がトレードで巨人に移籍した以上、走力の注入は最優先事項になる。走る気のなくなった大村よりも、個人的には森谷を1番中堅で使ってみたい。
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