<投手分析> 先発…黒田、長谷川、高橋、佐々岡、ニューマン、横山、苫米地、河内 右中継ぎ…小林、玉木、酒井、鶴田 左中継ぎ…広池、佐竹、西川 クローザー…小山田、ランドクィスト 昨期のチーム防御率4.36は、横浜の4.09を大きく上回り12球団最下位。それでいて22完投は12球団トップ。「先発コケればチームがコケる」という頭でっかちな投手分布を表しているようにも見えるが、セ・リーグの規定投球回数到達者16人中、佐々岡が12位、黒田が14位、高橋が15位、長谷川が16位。つまり、先発陣も大した成績は残せていない訳だ。 中継ぎ陣が先発陣に輪をかけた力量不足な為、投手を変えたくても変えられず、結果として完投数が多くなる。クローザーの小山田は32SPを稼ぎ出したが、後半失速して防御率を2.72まで落とした。クローザーとして、43投球回を上回る44被安打はちょっと頼りない。 黒田(28歳)・長谷川(26歳)と20歳台の軸は揃っているが、それに続くのは誰なのか。高橋や佐々岡に現状以上の成績は高望みしにくいし、横山は慢性的な故障があり、河内はもう一つ殻を破れず足踏みが続いている状態。昨期5勝を稼いだ苫米地も、タイプとしては勝ち負けがほぼ同数になるタイプ。 ヤクルトから移籍したニューマンに期待したい。ヤクルトではもう一つ起用方が定まらず中途半端な印象だったが、昨期も71回2/3を投げて55被安打、防御率3.52と決して崩された訳ではない。微妙に変化するストレートの打ちにくさは筋金入りで、起用方を定めれば救世主的存在になれる器。先発のテコ入れに起用するも、数自体いない中継ぎの軸として起用するも、どちらにしろ使い方次第で確実に数字を残せる。 あとは、若さと勢いのある酒井、阪神からテスト入団の西川、新外国人のランドクィストがどれだけ数字を上積みできるかというところ。 診断…先発陣に停滞傾向が見受けられるのは心配のタネだが、中継ぎ陣のコマ不足は現実的な頭痛のタネ。スケールの大きい若手は、大竹、横松、玉山と揃っている。彼らを根気強く試してみるのも一興かも? <野手分析> 1(左)福地 2(二)東出 3(中)緒方 4(三)新井 5(右)前田 6(遊)シーツ 7(一)浅井 8(捕)木村一 9(投) 控え 捕手…石原、西山 内野手…木村拓、栗原、岡上、野村 外野手…廣瀬、森笠、鞘師、町田 今年は金本が抜けた。00年の江藤に続いて主軸を失った格好だが、球団の戦略上金本の穴を埋めるのは自前でいくことになる。昨年打撃に開花の兆しを見せた“代走職人”福地を1番左翼に据え、空いた4番は“広島のマグワイア”こと新井に任せる。特に新井は、まだまだ今後の伸び率に余裕のある真性の長距離砲。今年まだ26歳、35歳の金本を失ったのは世代交代のタイミングと、前向きに受け止めるしかない。 エリート候補生として英才教育を施されていた東出のレギュラー特権が剥奪され、ディアスとロペスの両外国人が退団。新井の17失策はリーグ最多で、東出も16失策と守備難が解消されない以上、内野の再編は今年も焦点。東出の二塁コンバートがかなり現実味を帯びてきた以上、ここは木村拓、岡上、或いは福地を交えての激しいレギュラー争いが繰り広げられる。新外国人のシーツは遊撃に入りそうだが、守備面の評価は意外に高い。 昨期は揃って規定打席到達で.300以上を打った緒方と前田だが、この2人が爆弾要素になるのは今年に始まったことではない。町田が代打のスペシャリストとしての立場を固めつつある以上、ここの手当ては廣瀬、森笠、ルーキーの鞘師ということになる。廣瀬と鞘師は粗さの残る打撃、森笠は全体的なパワー不足がネックで、正直レギュラー奪取にはまだ時間がかかる気もするが、廣瀬と鞘師は守備力と肩、走力では緒方級の素材。打撃で一皮剥ければ意外に早いレギュラー交代はあるかも。 1年目の昨期はほとんど使われなかった石原だが、昨期打撃開花の木村一と並んでディフェンス面の評価は高い。西山・瀬戸から捕手面の世代交代はうまくいった印象で、今年1年石原と木村一の正捕手争いは白熱する気配濃厚。 診断…内野の再編成が最大の課題。新外国人シーツはどれほどの力量なのか? 二塁のレギュラー争いはどうなる? 新井は一塁か三塁、どちらで使われるのか? 金本の穴は全体で埋めていくしかないが、福地や鞘師辺りが戦力になれば走るチームカラー復活の狼煙。 <総合分析> 自由枠獲得の永川は、1年目から期待しづらいというのが正直な感想。最も深刻な中継ぎ日照りを解消する切り札は、伸び悩む横山・河内の脱皮よりも、ニュージェネレーションの台頭。投のキーマンはニューマン。 決して楽観できる状況ではないが、色々と試す要素もあるので楽しみも多い野手陣。主軸選手の高齢化、外野手の不足は解消されていないが、掛け持ちで守れる選手も多いので山本監督も頭をヒネることになりそう。打のキーマンは福地と新井。
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