<投手分析> 先発…川上、野口、朝倉、バルデス、山井、山本、植、バルガス、小笠原 右中継ぎ…遠藤、落合、正津、小山、紀藤 左中継ぎ…岩瀬、山北、久本、小林 クローザー…ギャラード 故障明けの野口、移籍に伴い先発転向のバルデスという爆弾要素はあるが、名前は揃ってる。最優秀防御率を最後まで桑田(巨人)と争った川上、高校卒3年目にして200回1/3を投げた朝倉を両輪とする先発陣は、バンチの退団が気にならないほどに充実した顔触れ。ここに野口とバルデスが額面通りの結果をプラスすれば、ちょっと手のつけられない構成になりそう。 1年目で6勝を挙げた山井、前半に先発を支えた小笠原まで含めて考えれば、山本の38歳という年齢が全く気にならなくなる。次代を担う大器・中里は、無理せず治療に励んで、万全の状態で戻ってきてください。 中継ぎはここ数年固定化されたメンバーだったが、昨期はここに山北が加わった。57試合登板は遠藤に並んでチーム最多登板。防御率4.13はあまり誉められたものではないが、岩瀬の負担を減らしたことで岩瀬の鬼神ぶりがより際立つという、大きな副次効果を生み出したのは見逃せない要素。昨期の防御率は1.06、59回2/3を投げて被安打38の66奪三振なのだから、まさしく岩瀬が投げれば勝ったも同然。 久本やルーキー小林、伸び悩む小山の台頭がないと、若干若さはなくなってきたという印象の中継ぎ陣だが、今年に限ればまだまだ働ける。いい加減に岩瀬の勤続疲労は心配になってくるが…。クローザーのギャラードは、こちらの心配を余所に昨期も35SPで防御率1.52と見事な働き。万が一故障しても、バルデスが回れば心配はない。 診断…野口とバルデスが計算に上がれば充分な戦力。鉄壁の勝ちパターンを誇るリリーフ陣は、それ故の疲労が心配。うまい具合にワークシェアリングで御自愛を。 <野手分析> 1(二)荒木 2(遊)井端 3(右)福留 4(一)クルーズ 5(中)蔵本 6(三)立浪 7(左)大西 8(捕)谷繁 9(投) 控え 捕手…田上、柳沢 内野手…酒井、高橋、渡辺、神野、森野、森岡、リナレス 外野手…井上、章剛、関川、幕田 中日のアキレス腱はとにかく攻撃力、特に長打力が弱い。これはここ数年ずっと言われていることで、昨年獲得した“キューバの至宝”リナレスも完全にピークを過ぎていて、とても弱点解消には至らなかった。 今年はさらに、その数少ない長打力を担っていたゴメス、山崎の両一塁手が退団。それだけ前マーリンズのケビン・ミラーに期待をかけていたのだろうが、ここにきて来日の目が限りなく薄くなってきた状態。ミラーが入ればオーダーを組むのも随分楽になるのだが、ここではミラーが入団しないという前提で考えてみた。逆転劇があれば、当然このオーダーよりも厚みのある打線は組める筈。 元阪神のクルーズを主砲で考えたが、阪神時代の打棒を考えればかなりのギャンブル要素。特にサウスポーの変化球には、いいように遊ばれていた。本人や首脳陣はかなりの自信を持っているようだが、今期35歳の年齢を考えればどこまで修正能力を持っているか疑問符がつく。本音を言えば、遅咲きの予感を抱かせる高橋を4番一塁で使ってほしいところ。 昨期は中盤から井端が1番を打つことが多くなったが、右打ちの巧さやファールを稼ぐ技術を考えれば万能型2番の方が持ち味が出る。往年の辻発彦を彷彿とさせる職人的2番の資質で、その為には中日で最も走れる荒木の1番定着は首脳陣の悲願と言っても過言ではない。 蔵本は肩と足を買っての起用で、本来は7番辺りで下位打線の切れ込み役を担わせたいのだが、本当にミラー1人いないとオーダー組むのがつらいねぇ…福留・クルーズ・立浪とクリーンナップに左3人が並ぶのは、ちょっと頂けない気もするんで、敢えて蔵本を5番に。 診断…クルーズに期待不可なら高橋4番、クルーズ4番で左右のバランスをとるなら蔵本5番、大穴リナレスの爆発にかけて主軸起用…ミラー1人に振り回されて、どこもかしこもギャンブルの地雷だらけ。 <総合分析> ミラーが主軸にドッカリ座れば、巨人への対抗候補筆頭だった。そのミラーの来日が見えなくなったことで一転してオーダーの組み方に四苦八苦する辺り、今の中日の危うさというものが透けて見えてくる。 バルデスにしろクルーズにしろ、日本経験のある外国人を補強して間に合わせようという球団の姿勢からは、応急処置で行けるところまで行ってしまえという安直な考え方が透けて見えてくる。若手の期待株はある程度揃っている上に投手力はあるのだから、今年を大規模な変革の年と位置付けても結構戦えそうな気もするのだが。
|