<投手分析> 先発…藤井、ホッジス、石川、坂元、高井、館山、鎌田、戎、山部、五十嵐貴 右中継ぎ…五十嵐亮、河端、花田、本間、萩原 左中継ぎ…石井、山本、松田 クローザー…高津、成本、平本 昨年は先発の頭数がもう一つという印象だったが、今年は逆に先発の数自体は揃っている。高井、館山というルーキーも数えたが、表のローテーションは計算が立つだけにある程度融通の利くメンバー構成ではある。ただ、故障明けの戎、上がり目の望めない山部、体質的な弱さがある鎌田、実績のない五十嵐貴まで数えている以上、層の薄さを解消するには至っていないというのも現実。 先発ではホッジス(30歳)、戎(31歳)、山部(32歳)以外全て20歳台で、若さのある構成ではある。裏返せば脆さがないとは言えない構成で、高井や館山はもちろん、坂元や鎌田が機能しないと怖い構成だ。 昨期のシーズン前は、入来(退団)、前田まで計算に入れていたのだから、若返りは促進されている。引き換えに、計算の立たない不安定さはある。その不安定だった投手陣を支えたのが、中継ぎで奮闘した五十嵐亮と石井の“ロケットボーイズ”。五十嵐亮が64試合登板で78回、石井に至っては69試合で89回2/3を投げていて、いかに昨期のヤクルトがこの2人に頼ってきたかがよく分かる。当然、今年の疲労残りは現実的な心配。五十嵐亮が包丁で指に大ケガしたってのは、もっと心配。 昨期32セーブの高津も、防御率3.89でやや陰りが差してきた。成本は阪神にテスト入団した年に20セーブを挙げ、カムバック賞に輝いた右腕。昨期はバルデスに働き場所を奪われた格好だが、持っている球が衰えていなければ高津の補佐役として期待できる。豪腕サイドハンドの平本は慢性的なノーコンだが、一つコントロールを覚えれば大化けもある素材。 診断…若さのある先発陣が、どれだけリリーフ陣の負担を軽くできるか。計算の立たない怖さと未知の魅力への期待、二律背反のお楽しみ。 <野手分析> 1(中)真中 2(遊)宮本 3(三)岩村 4(左)ラミレス 5(右)稲葉 6(捕)古田 7(一)ベッツ 8(二)城石 9(投) 控え 捕手…米野、小野 内野手…度会、浜名、三木、鈴木、野口、畠山 外野手…志田、久保田、飯田 とにかく若さの無いメンバーで面白味がない。そこから大黒柱ペタジーニが抜けたことで、かなり危機感の強いオーダーになったという印象だ。岩村(24歳)、ラミレス(29歳)と、主軸には20歳台の選手が座ることになりそうだが、それでも全体的に漂う高齢化の波は払拭できない。 これまでヤクルトは、数年の間レギュラーが固定されてきた。それが安定した強さを発揮する要因であったのは間違いないが、逆に新陳代謝が遅れてきたというのも事実。ペタジーニの抜けた今年は、かなり大掛かりな地殻変動が起きてもおかしくない時期である。 若手に目を向ければ、野口、畠山、志田、それにルーキー久保田と、期待株がいない訳ではない。ただ一軍での実戦経験が乏しい分、使うことへの怖さはある。しかし使ってみないことには始まらないし、そういう時期に来ているということを、若松監督は考えておくべきだろう。高齢化が進んでいる以上、使ってみれば意外にチームの循環を促す働きをするかも知れない。 それでも、特に外野手は数自体が少ない。こういう状態で主力に故障が相次ぐと、若手を使うかどうかという以前の問題。故障持ちの多いチーム、どうか体には気をつけてください。 診断…とにかく若い血の注入が必要。新戦力のベッツは未知数、思いきって畠山辺りを一塁で使ったり、志田を中堅で固定してみるのも面白いかも。 <総合分析> ペタジーニが抜けたのは確かに痛い。痛過ぎるというのが首脳陣の本音かも知れないが、これが逆に世代交代の機運となれば、あながちマイナス面ばかりとも言えなくなる。そういう可能性はある。 昨年17勝で最多勝のホッジスも、完投数はゼロ。チーム全体の完投数が藤井5、石川2、坂元1の計8で、これは5位中日の13を大きく引き離してダントツのビリッケツ。 恐らく今年もロケットボーイズに対する負担は大きい筈だが、負担が大きくなればなるほど覇権も遠ざかっていく。無闇やたらこの2人に頼らないような闘いができればAクラス、ダメならBクラスと見る。
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