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Vol.39 2002年プロ野球12球団戦力診断 大阪近鉄編
2002年02月04日(月)

 セ・リーグ6球団の戦力診断を終えて、日頃批判的な小生が随分と好意的に書いたものだと思う。どのシーズンもそうだが、開幕前というのはどのチームも戦力は一通り揃っているので、100%の力を発揮出来ればそこそこ上位に食い込むだけの計算が立つものである。要は、シーズンに入ってからどれだけ額面通りに結果を積み重ねることが出来るか。長いシーズンの中で修正要素が少ないチームこそが覇権を握るということか。

 今回から戦力診断はパ・リーグ編。セ・リーグ同様に順位毎に見ていくということで、今回は大阪近鉄編。

<投手分析>
先発・・・前川、バーグマン、岩隈、加藤、パウエル、高村、山村、門倉、小池
右中継ぎ・・・岡本、三澤、愛敬、盛田
左中継ぎ・・・有銘、関口、吉田、谷口、佐藤
抑え・・・大塚

 去年はチーム防御率が4.98。今さらながら、よくこの投手力で優勝出来たものだ。それだけ打線がケタ外れだったことは言うまでも無いが、打線頼みで連覇を果たすことは不可能と断言出来る。特に先発陣は立て直しが急務。

 そんな中、去年10勝のバーグマンと4勝のパウエルが揃って再契約を結んだのは大きい。特にバーグマンはストレートの威力がハンパで無く、今年は開幕から軸としての活躍が望める。本来のエースは昨年12勝の前川だが、防御率は規定投球回数到達者の中でダントツ最下位の5.89で柱にはなれていない。当面のエースはバーグマンと見て間違い無い。

 後は去年ブレイクした3年目の岩隈、オリックスからFA移籍した加藤が続き、谷間を高村、山村、門倉、小池といった辺りから調子を見て選んでいくことになるだろう。岩隈は長身から繰り出されるストレートの速さもいいが、最大の武器は真横にスッと滑る純正スライダーのキレ味。球の出し入れを覚えればさらに勝ち星を上積み出来る好素材。その球の出し入れで勝負するのが加藤。今年37歳になるがカーブ、シュート、パームボールを縦横に使いこなす投球術は健在で、今の近鉄にはいないタイプ。投手陣は盗むことが多い筈で、そういった意味で波及効果も望める。

 中継ぎは、先発に比べて質・量共にまとまっている。特に岡本は中継ぎのキーマン。昨年中継ぎに転向しゲームの中盤〜終盤をビシッと締めた。彼がいなければ近鉄の優勝は無かったと言ってもいい存在で、今年もチームの命運を握る存在。心配なのは昨年61試合登板の疲労残りだけ。三澤はある程度のイニングをこなせるのでゲームメイキングには欠かせない。今年も出番は多いだろう。愛敬、盛田は右のワンポイント的存在。手薄だった左の中継ぎは即戦力3人で厚みが出た。柴田の解雇は疑問だったが、取り敢えずの体裁は整えた感じ。阪神からテスト入団したベテラン吉田も、コントロールは相変らず悪いが勢いは衰えていない。

 抑えの大塚は、去年前半戦は苦しんだものの優勝争いが佳境に入った後半戦からは鬼神のような活躍を見せた。体調万全なら何も心配は無いだろう。勝ちパターンを保証する継投の命綱だ。

<野手分析>
1(中)大村
2(二)水口
3(左)ローズ
4(三)中村
5(右)磯部
6(一)吉岡
7(指)川口(ウィルソン)
8(捕)的山(北川)
9(遊)前田(阿部)

控え
捕手・・・古久保、藤井
内野手・・・武藤、高須、山下、五十嵐、星野
外野手・・・鷹野、益田、中濱

 去年とほとんど変わらないオーダー。それだけ去年のオーダーが脅威的なものだったということは言うまでも無い。

 大村は去年16本塁打と長打力を発揮、160安打も見事だが打率.271はもう少し上げられる筈。5盗塁も不満で、98年に.310、23盗塁をマークしている総合力はもうワンランク上の筈。水口は超強力打線をピリッと引き締めるいぶし銀。繋ぎの巧さはチームでダントツ、今年もチームの精神的支柱だ。ローズ、中村、磯部、吉岡に関しては何も言うこと無い。今年もその脅威を他球団に振りまくであろう。捕手は去年と同様に併用でいく公算が大。打撃の北川、強肩の的山、リードの古久保、将来性の藤井と4者4様で、どれも決め手に欠ける。状況に応じて入れ替えるだろう。ショートは守備力を考えて前田を入れた。打撃がかなり弱いが、前の打者が強力過ぎるのであまり問題無いだろう。内野は他にも、総合力を武器にケガからの復活を賭ける武藤、パンチ力ある打撃の山下、どこでも守れるスーパーサブの五十嵐、星野と揃っている。

 問題は指名打者。と言うのも、日本ハムで本塁打王2回、打点王1回の実績を持つウィルソンを獲得した為、川口との兼ね合いが難しい。ウィルソンは持病のヒザ痛のこともあり磐石では決して無いが、もし額面通り数字を残せるメドが立った時にどうするか。新聞報道によると川口が本職の外野の他にファーストとサードの練習を始めたらしいが、これを考えると昨年の日本シリーズでもやった中村をショートに回す超攻撃的布陣も考えられる。具体的には下記の通り。

1(中)大村
2(二)水口
3(左)ローズ
4(遊)中村
5(右)磯部
6(三)吉岡
7(指)ウィルソン
8(一)川口
9(捕)的山(北川)

 こうなるとアキれるような打線だが、守備の面を考えるとプラスよりもマイナスの方が大きい気もする。しかし、昨年のオーダーが組めれば打線に心配は一切無かろう。

<総合分析>
 連覇のカギは1にも2にも投手陣の整備にかかっている。豪快に打ち勝つ野球が近鉄の持ち味と言えばそうだが、やはり去年と同じような投手力のままだと息切れする可能性が大。その意味では、本命視は難しいと見る。

 まあ、取り敢えず今年も大阪ドームを沸かせるような野球をしてくれるのは間違い無いだろう。相変らず長い試合が多くなりそうだ。打線だけで言えばちょっと格が違うか。



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