DEAD OR BASEBALL!

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Vol.38 2002年プロ野球12球団戦力診断 阪神編
2002年02月03日(日)

 キャンプイン翌日のスポーツ紙、関東ではどこもかしこも星野、星野、星野でした。きっと関西圏ではもっと扱いが凄かったんでしょうね。例年なら大抵は読売の記事で埋め尽くされるんですが、なんだかんだで注目されてるんですねぇ、星野阪神。

 戦力診断の6回目は、そんな色々話題が多い阪神編。

<投手診断>
先発・・・井川、ハンセル、藤田、安藤、藪、谷中、カーライル、ムーア、星野
右中継ぎ・・・伊藤、葛西、伊達、藤川、部坂
左中継ぎ・・・遠山、弓長、西川、原田、吉野
抑え・・・福原、成本、バルデス

 川尻のメジャー移籍問題がこじれにこじれオフの話題を彩ったが、一言で言えば川尻も球団もどっちもどっち。川尻よ、権利が無い以上は球団が出さないと言ったら諦めろ。球団よ、出たいと言ってる選手を戦力扱いしてチヤホヤするな。一番迷惑しているのは戦力を預かる現場だぞ。いい大人がみっともない。こちらも川尻は戦力としては考えません。好きにしなさい。

 川尻如きいなくても、充分にローテーションは機能する。中心は去年防御率2位の井川。持病の腰痛が完治し、驚くほどフォームとストレートにキレ味が出た。去年の経験を含め、今年はさらにワンランク上に行ける器。スライダーやチェンジアップも器用に習得し、思ったよりテクニックもある。これに続くのがハンセルとカーライルの外国人残留組。ハンセルは去年5勝13敗と大きく負け越しているが、防御率3.49が示すように内容は悪くない。長身から繰り出される荒れたストレートの威力とシンカー気味にフワリと浮くチェンジアップは、今年も充分に通用する。カーライルはストレートのボリューム不足が心配だが、キレ味は上々。登板を重ねる毎に安定してきて、今年は中心にもなれる。

 谷中と星野は谷間で仕事をしっかりしてほしい。谷中は去年西武からトレードされて7勝を上げたが、この人が谷間に入ってくれれば層が厚くなったということ。藪は去年プロ入り後初の未勝利に終わったが、持ってる球自体は衰えていない。心機一転でエースの座を奪回出来る力は持っている。藤田は去年のドラフト1位だが、故障とフォーム修正の悪影響で泣かず飛ばず。力の絶対値は高いだけに今年巻き返さないと名誉が泣くゾ。安藤は典型的な先発完投形で、1年目から先発ローテに入れる実力はある。ムーアは期待の先発左腕だが、やってみないと分からない。

 リリーフ陣は高齢化が著しい。伊藤は去年も防御率1.79で6勝と安定したが、コーチ兼任になった葛西共々そろそろ頼るには苦しい年齢。そこは伊達の勢いと藤川の若さに託したい。伊達は去年は先発も経験したが、中継ぎがいないのでこちらに入れてみた。藤川はストレートのボリューム感の無さと必ず真ん中に浮くスライダーに信頼が持てないが、そろそろ殻を破らないと苦しい。左はコマこそ豊富だが、タイプが似たり寄ったりで飛び抜けた軸は不在。逆に言えば調子のいい人材をチョイスして使えばいいわけだが、ワンポイントがせいぜいというのが本音。今年も繋いでいく野球になりそうだ。

 抑えは去年20セーブでカムバック賞の成本がいるが、後半に息切れしていることから磐石の信頼は置けない。星野監督は成本と新外国人のバルデスでダブルストッパー体制を考えているようだが、小生の本命は福原の抑え固定。福原はピッチングにメリハリが無い為に先発だと必ず捕まるイニングがあるが、抑えなら勢いだけで食っていける素材。適性で考えれば、虎の守護神は福原しかいない。

<野手診断>
1(中)赤星
2(遊)藤本(沖原)
3(左)濱中
4(一)アリアス
5(三)片岡
6(右)桧山
7(二)今岡
8(捕)矢野(山田)
9(投)

控え
捕手・・・浅井、カツノリ
内野手・・・上坂、八木、田中、広澤
外野手・・・坪井、平下、松田、吉田

 コマは実に豊富だが、飛び抜けた存在はいない。オーダーは固定ではなく、入れ替えも激しくなりそうだ。ただ、新加入の中軸がハマればオーダーはかなり楽になる。

 片岡は選球眼もよく、特に心配していない。波が激しい選手ではあるが、隔年毎に成績が上下する選手なので今年はいい年になる筈。心配なのは移籍に伴う外的な要因の増加だけ。しかし、アリアスはハッキリ言って期待しづらい。オリックスの2年間で64本の本塁打を放った長距離砲だが、セ・リーグの野球に馴染むことが可能か微妙。無駄の無い構えはいいのだが、スイングの途中で踏み出した左足が早く開いてしまう為、外角の変化球にはからっきし弱い。セ・リーグの野球は弱点をガンガン突いてくる野球なので、スライダー系統で徹底的に揺さぶられた時にどう対処していくか。去年の38本塁打を評価する声も多いが、超打高投低だった去年のパ・リーグで.261しか打てていないことを心配のタネと考えた方がいい。

 もしアリアスはダメな場合は、以下のオーダーを考える。
1(二)上坂
2(中)赤星
3(一)片岡
4(左)濱中
5(右)桧山
6(三)今岡
7(遊)藤本(沖原)
8(捕)矢野(山田)
9(投)

 赤星、藤本、上坂といった辺りは安定感がほしいが、それ以上にもっと走っていい。去年は赤星が39盗塁で盗塁王に輝いたが、トータルで見ればもっと走れる。その為には打撃を磨いて塁に出る機会を増やすのも重要。濱中は今年真価が試される。3割25本を目標に掲げているようだが、それが可能なだけの実力は持っている筈。変化球打ちに見せる打撃センスは実に非凡。桧山は去年の安定感が出せれば文句無い。本来は中距離の広角ヒッターで、今年は点取り屋としてフル出場を期待。捕手は矢野が相変らず中心。.395の盗塁阻止率は捨て難く、総合力で言えば山田も浅井もカツノリもまだまだ勝てない。

 注目の選手は今岡と平下、松田。特に今岡はいい加減一本立ちしてもらわないとチームにスケールが出ない。バッティングセンスは首位打者クラスで、他の誰にも出来ないような巧いバッティングを度々見せる反面、『なんじゃそりゃ?』と言いたくなるような淡白な凡退も多い。チームの大型化には絶対欠かせない選手で、常に一定の成績が残せれば阪神の中心選手になれる。不思議な二面性を持った選手だが、是非とも殻を破ってもらいたい。平下と松田はバッティングの形が完成されている。松田はチームでもトップクラスの強肩でもあり、その肩力は大袈裟で無く新庄クラス。外野陣の一角を崩してもおかしくない。

<総合診断>
 星野フィーバーで、良くも悪くもオフシーズンの主役を突っ走っている阪神。しかし、戦力的な上積みは確かで、打線の中軸が機能すればAクラスを狙える戦力は整っていると言っていいだろう。投打共に枝葉の部分は実に豊富な戦力で、消耗戦になればかなりしぶといチームに変貌していると見る。

 星野監督の言動がマスコミを騒がせているが、マスコミを巧みに利用して選手を鼓舞するのが星野監督の選手操縦方。マスコミに伝えられる監督言動で尻込みする選手はプロとして失格。戦う集団としてどのように星野監督が大人しい阪神を変えていくか。それに選手がどう応えるか。小生はかなり面白い存在だと睨んでいる。ひょっとしたらひょっとするゾ!



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