DEAD OR BASEBALL!

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Vol.40 2002年プロ野球12球団戦力診断 ダイエー編
2002年02月05日(火)

 キャンプというものは、雨天になれば当然室内練習場でメニューを消化するわけだが、グラウンドで行う練習は公開しているのに室内だと関係者以外立ち入り禁止で行うケースが殆ど。普段はファンに見せているのに、室内だと何か都合の悪いことでもあるんだろうか。

 戦力診断第8回は、本社の経営問題で色々と渦中のダイエー編。

<投手分析>
先発・・・田之上、星野、杉内、ラジオ、山田、若田部、永井、倉野、佐久本
右中継ぎ・・・岡本、長富、アキラ、飯島、水田、吉武
左中継ぎ・・・吉田、篠原、渡辺、松、田中
抑え・・・ペドラザ、山村、斎藤

 一応の軸は昨年13勝コンビの田之上、星野である。昨年のV逸は、若田部、永井といった本来エースにならなければいけない投手が活躍出来なかったことが原因で、裏を返せばこの2人とラジオが復調し安定すれば、投手陣の層はグッと厚くなる。しかしこの5人はコンスタントに勝ち星を上積みする安定感に乏しく、昨年活躍した田之上と星野にしても今年同じ数字が出せるかというとちょっと危ない。そこで期待したいのが、今年1年目の杉内と2年目の山田。

 杉内は社会人ナンバー1左腕の実力を引っ下げての1年目だが、ローテーションに入る実力は充分に持っている。鹿児島実業高時代は夏の甲子園でノーヒットノーランを記録し、あの横浜高の松坂大輔(現西武)とも熾烈な投手戦を演じているので記憶にある人もいるだろう。当時から魔球のキレ味を誇るカーブは健在で、社会人でウェイトトレーニングに励み下半身が驚異的に発達したことでストレートも140キロ台後半までヒートアップ。ピッチングのスケールは現在のダイエー投手陣の中でも屈指のものがあり、今年いきなりエースになってもおかしくない大器。

 山田は昨年度のドラフト2位。大学球界屈指の右腕で即戦力の期待がかかったが、昨年はよもやの2勝に終わってしまった。しかしストレートは鋭い伸びでMAX151キロを計時し、カーブ、スライダー、フォークと変化球も高い次元でまとまっている。プロの水に慣れた今年は巻き返し必至で、体調万全なら最低2ケタ勝利は期待していい。

 中継ぎ陣はそこそこバランスが取れており、穴は感じない。去年、元守護神の岡本が復活したことで中盤の流れはほぼ磐石。心配なのは毎年のことながら勤続疲労だけで、篠原、渡辺といった辺りが昨年息切れしたのはそれがモロに出たか。今年は期待していいだろう。その中で中心は今年も鉄腕・吉田になる。去年も68試合に登板し、ここ5年間の年間平均登板数が60を越えるタフな投手で、今年もその出番は多い筈。ベンチにとっては頭が下がる投手で、ストレート、スライダーのピンポイントコントロール、切り札パームボールのキレ味も一向に衰えを見せない。

 抑えは昨年34セーブで2年連続セーブ王のペドラザがおり磐石なように見えるが、昨年は56回2/3を投げて63披安打、防御率3.65と安定感はガタ落ちしている。長い腕から繰り出される出所の見えにくいストレートとスライダーが武器だが、3年間で徐々に覚えられてきた感じ。もしかしたら先発転向や2軍落ちもあるだろう。そこで抑えに期待したいのが昨年のドラフト1位・山村と高校卒6年目の斎藤。共に150キロ近いストレートが武器だが、2人とも故障に泣かされてきた。体調万全なら抑えの器で、特に大学時代に見た山村のスライダーは絶品だった。

 最後に話題の寺原について。よく松坂の1年目と比べられるが、投球術はもとより下半身はあの頃の松坂の方が強かったように見える。球団としても早く使いたいのは分かるが、1年間はジックリと体を作って下さい。あれだけの素材、時期を見誤って壊すようなことだけは絶対にしないで下さいな、ダイエーの皆様。

<野手診断>
1(中)柴原
2(左)バルデス
3(二)井口
4(三)小久保
5(一)松中
6(捕)城島
7(右)秋山
8(指)大道(バークハート)
9(遊)鳥越

控え
捕手・・・坊西、的場
内野手・・・本間、林、吉本、川崎
外野手・・・村松、荒金、大越

 強力打線は今年も健在。長打力では近鉄に若干劣るが、それでも相手投手にとっては充分に凶悪な打線で、むしろバランスで考えたら近鉄を上回るかも知れない。

 本来は昨年44盗塁で盗塁王の井口を1番に入れて考えたいのだが、.261の打率はやはりリードオフマンとしては不安。小久保、松中といった強力なポイントゲッターが後ろに控えているが故に盗塁のマークが緩くなったということも考えられるので、やはり井口は3番がベターなのだろう。欲を言えば、やはり打率は最低でも.280は欲しいところだが。

 1、2番は柴原とバルデスで安定だろう。柴原は昨年も.302と安定感が出てきた。ただ、8盗塁は彼の足を考えれば少し不満。もっと凄い1番になれる器。バルデスは.310の打率も素晴らしいが、それ以上に77個の四球が素晴らしく出塁率も.394と非常に高い。選球眼も良く長打もあり、これ程にイヤな2番もそうそういない。小久保と松中は、故障が心配だがなんだかんだで試合には出て結果も残している。捕手の城島共々、何も言うことは無いだろう。特に松中のバッティングは非常に芸術的な前重心バッティングをするので今年も必見。

 下位打線はある程度入れ替えがあるかも知れない。キャプテン秋山は貴重なポイントゲッターだが、今年40歳の年齢を考えればフルに頼るには厳しいか。ただ、そこは村松や荒金もいるので手当ては可能。DH候補の新外国人・バークハートはやってみないと分からないが、もしダメなら、大道の起用や、松中のDH+吉本のファースト抜擢なんてのも面白いか。強力打線の中で唯一の息抜きだった鳥越だが、ショートの守備力を考えれば外し難い。前が強力だけにここは鳥越でいいだろう。

<総合診断>
 投打のバランスで言えばかなりのものがある。今年も優勝候補の有力株だろう。問題は、本社の問題が色々と球団に悪影響を及ぼさないかどうかということが一番大きいのかも知れない。

 投手陣で言えば、絶対的なエースを据えることが出来るかどうか、抑えを確立出来るかどうかにかかっている。もう一声という投手陣だが、そこを埋めるだけの期待株も確かにいて、それがハマれば磐石になってもおかしくない。野手は毎年起きる主力陣のリタイヤがあるか、それに対する備えは整備されてるかということ。ここを押さえれば、あっさりペナントレースを抜け出すことも考えられる。



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