DEAD OR BASEBALL!

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Vol.37 2002年プロ野球12球団戦力診断 中日編
2002年02月02日(土)

 野球の練習を見るのが好きである。特にアマチュア野球を観戦する場合、選手に対する予備知識を持ってないケースが多いので、練習やイニング間のボール回しをしっかり見ないと選手の力量を測ることが難しい。テレビ中継では、試合前練習はもちろんイニング間のボール回しですらCMや何かで見れないことが多いので、生で見る練習というのは実際には貴重な情報収集源である。そんなこんなで、キャンプの様子を見ることが出来る番組があるのはありがたい。CS放送のスカイAで放送されている「猛虎キャンプリポート」は、これから毎日チェックすることになりそうだ。

 5回目の戦力診断は、山田新体制の中日。

<投手診断>
先発・・・野口、川上、山本、バンチ、山井、朝倉、中里、平松、川崎
右中継ぎ・・・落合、正津、遠藤、小山
左中継ぎ・・・岩瀬、久本
抑え・・・ギャラード

 額面通りに数字が出せれば、かなり締まった投手陣ではある。中継ぎ陣に勤続疲労の色が出始めているが、トータルで見たら充分に1年戦える投手力は持っている。

 先発の野口・川上・山本・バンチ、中継ぎの落合・正津・岩瀬といった実績組には特に心配無い。強いて言うなら、先程挙げた勤続疲労と来季37歳になる山本の年齢ぐらいか。その地力に戦力を上積みする若手にも、有望株が多く揃っている。その筆頭は高校卒3年目の朝倉と高校卒2年目の中里のドラフト1位コンビ。

 朝倉はストレートのキレ味が格段に進歩している。課題だった背中が小さくまとまるようなフォームが改善され、それに伴い下半身もしっかり割れるようになった。そろそろ結果が出てもいいころ。中里は去年後半戦で巨人の重量打線を相手に才能の片鱗を覗かせた天才肌。フォームの完成度も高く、弓のようにしなるヒジ、無駄の無いテークバック、トップの締まり方、低めストレートのホップするような伸びと、ケチをつける材料が一切と言っていい程に無い。昨期終盤に痛めた右ヒジも完治し、その間に取り組んだウェイトトレーニングによってプロの体つきにもなってきた。今年1番大化けが出来る素材だ。

 あとの期待株は山井・久本の河合楽器コンビ、巨人からFA人的保証で獲得した平松か。特に山井は、小生の中では新人王候補筆頭。140キロ台後半のストレートを丁寧に集め、ベースの角を凶暴に切り取っていくスライダーのキレも伊達ではない。久本もスライダーのキレに定評があり、岩瀬の負担を少しでも軽くする役割が望める。巨人では芽が出なかった平松も、非常にピッチングがまとまった好素材で、谷間でいい仕事をしてくれそう。

 抑えのギャラードだが、3年目ということもあって磐石の信頼は置けないと見る。カッターを武器にグイグイ押していくピッチングが持ち味だが、そろそろ慣れてきてもおかしくない。気持ちで突貫していく投手なだけに、コケた時の修正も難しいだろう。もしギャラードがコケた時は、山井の抑え抜擢なんて面白いかも知れない。

<野手診断>
1(二)荒木
2(遊)井端
3(左)福留
4(一)山崎(ゴメス)
5(右)ブレット
6(中)波留(関川、蔵元)
7(三)立浪
8(捕)谷繁(田上)
9(投)

控え
捕手・・・鈴木
内野手・・・森野、渡辺、神野、大豊
外野手・・・井上、大西、筒井、森

 荒木・井端の二遊間コンビ以外はポジションが固まっていない。出たとこ勝負の選手が多く、恐らく今年1年は先発オーダーが固まりきらないまま戦うことになりそうな布陣だ。

 その荒木・井端に関しては特に言うことは無いだろう。荒木は打撃の形が固まりつつあるし、井端は去年1年で随分とイヤらしさが身に付いてきた。強いて言うなら、井端が後半にやや息切れしたのが不安要素。今年は1年間安定した成績を残してもらいたい。あと、この2人は相当に俊足。2人でガンガン走り回ってほしい。最低でも合計50は走れる筈。

 打線のキーマンは福留。これは毎年のことだが、福留がいい加減一本立ちしないと打線が締まらない。福留の欠点は、とにかくトップに持っていった時にグリップが背中に入る打撃フォームの悪癖。これを改善しないと三振は減らないし、ツボに来た時しか対応出来ない為に打率も上がらない。去年後半に若干矯正されつつあったが、それを果たして維持することが出来ているだろうか。

 ファーストは激戦区。山崎、ゴメスの他に大豊も控えている。ゴメスは膝が悪い為に1年フル出場は無理だろう。ここは山崎の大爆発に期待したい。ゴメス、大豊をまとめてベンチに座らせるぐらいの爆発力は持っている。ブレットは見てみないと分からないが、外野はセンターの候補も含めてコマは揃っている。状況に応じて使い分けていくだろう。立浪に関しては何も無い。毎年確実に数字を残してくれる選手は非常に貴重。あと235本に迫った2000本安打目指して頑張って欲しい。捕手は恐らく谷繁固定でいくだろう。去年.543という盗塁阻止率に20本塁打の長打力でチームに厚みは出た。

 注目選手は蔵元と森。蔵元は肩と走力なら中日の外野陣で断然のトップ。去年のフレッシュオールスターでのスピードガンコンテストでは148キロを計時しているように、その鉄砲肩は貴重な存在。打撃で一皮剥ければ、中日の目玉外野手になれる素質あり。森は年々期待されている大型野手で、去年までの登録名はショーゴー。グリップを下げて構えるフォームに不満はあるが、腰の回転だけで大きいのを打てるのは貴重な才能。福留が相変らず泣かず飛ばずなら、迷わず抜擢する価値がある。

<総合診断>
 オフシーズンは「星野・島野騒動」に揺れた中日だが、いかにしてそのショックを前向きに持っていけるか。星野も島野も同じグラウンドに立つ為、逆にそれを闘志に転換するぐらいの気持ちは持っていけるだろう。

 戦力的にはやはり打線が苦しい。しかし、投手力は相変らず強力なメンバ−を抱えている為、長期のシリーズを安定して戦える算段が立つという強みはある。打線の思い切った新旧交代が実れば台風の目。



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