ストーブリーグも佳境を迎え、いよいよ各球団の様相が出揃ってきましたが、皆さんは「ストーブリーグ」という言葉の由来を知ってますか? この国では、オフシーズンのFAや契約交渉等の話題のことを全てひっくるめて「ストーブリーグ」と言っていますが、本来の意味は、冬場に野球好きが集まってストーブで暖を取りながら過ぎ去ったシーズンのことをあれこれと回想するという意味から来ているのです。間違っても、球団の株問題で揉めたり新リーグ結成などという戯言を使ってオーナーが恫喝することではないので、悪しからず。 戦力診断の2回目、いってみましょう。今回は読売編。 <投手分析> 先発・・・上原、入来、工藤、河原、桑田、ワズディン、小野、高橋尚、三浦 右中継ぎ・・・條辺、武田、谷、田畑、アルモンテ 左中継ぎ・・・前田、柏田、河本 抑え・・・岡島 冷静に見ても、相当にヤバい投手陣と言っていい。去年のV逸は完全に投手陣が崩壊したことが原因だが、今年もその危機感は拭えそうも無い。 先発は上原と入来の二人が軸になりそうだが、磐石の信頼は置けない。特に上原は1年目の20勝フィーバー以来めっきり下半身が弱くなり、コントロール・球威共に先細りしている。必然的にフォークに頼る配球が目立つが、1年目にあれだけ勝てたのはインハイのストレートに絶対のコントロールと安定した球威があった為。だから、その目線から落とすフォークが有効に働いたのである。徹底的に走り込んで、下半身強化に務めれば軸になりうる素材だが、ここ2年の投球を見る限り多くは望めそうに無い。大学時代には素晴らしいスライダーを投げていたのに、フォークに味をしめて以来ほとんど投げなくなっているのも気になる。 入来は去年以上の数字を期待するには酷、工藤・桑田も年齢的に上がり目は無く大車輪の活躍は期待薄、ワズディンは未知数、高橋尚もぬるま湯にドップリ浸かり大勝ちは望めない。そこでカギになると見るのが、河原、小野、三浦の3人。河原は体が弱過ぎる為に1年フル回転は無理だが、谷間でいい仕事をすれば台所事情が楽になる。小野は万馬券のような選手だが、持っている球威とカーブは充分に1軍レベル。プレッシャーに縛られない起用法を首脳陣が考えるべき。三浦は去年中継ぎで結果を残しているが、長いイニングの中でメリハリをつけながら投球を組み立てた方が持ち味が出ると思うので、先発に入れてみた。 リリーフも信頼には乏しい。抑え以外なら何でもこなせる前田の加入はプラスになると見るが、それ以外で信頼出来る選手がどれだけいるか。去年高校卒2年目でブレイクした條辺は疲労残りが心配。担ぎ投げに近いフォームなので、故障も心配になる。武田・田畑は好不調の波が激しく厳しい。柏田・河本は左の特性が無ければベンチ入りも厳しく、せいぜいワンポイント。日本一を果たした00年に活躍した木村・南辺りがベンチに入らないと、質・量共にかなり薄い陣容だ。 抑えは一応去年27SPの岡島を据えたが、投球回数と披安打数が同数で絶対の信頼は置けない。アルモンテを残留させたということは、それだけのものがあるのだろう。もしかすると抑えの座を岡島から奪うかも知れない。 <野手分析> 1(右)高橋由 2(遊)二岡(元木) 3(左)清水 4(中)松井 5(一)清原 6(三)江藤 7(二)仁志 8(捕)阿部 9(投) 控え 捕手・・・加藤、村田、吉永 内野手・・・宮崎、川中、福井、川相、大須賀 外野手・・・後藤、堀田、斎藤 繋がりに乏しいと言われながらも、重量打線は健在である。その重量打線にどれだけのメリハリを出せるかということでこのようなオーダーを組んでみた。 そもそも現在の読売にリードオフマンタイプの選手はいない。強いて言うなら宮崎や斎藤で、森(横浜)や野村(前阪神)のような監督なら好んで抜擢したくなるような俊足選手だが、恐らく原は使いたくない選手だろう。しかし、出塁に貪欲さが無い仁志の1番には大いに不満がある。あんなに出塁率が悪く、三振も多く、盗塁成功率も悪い打者はトップバッターとしては失格。そこで高橋由を切り込み隊長に持ってきた。彼のようなヒットマンを先頭に持ってきた方が打線に波が出来ると思うし、通算盗塁数は少ないが足も相当に速い。走る意識に目覚めれば、去年の井口(ダイエー)のように「走れる大型野手」としてもう一皮剥ける気がする。 2番には嫌らしさを考えれば元木の方がいいのだろうが、守備力で言えば二岡の方が上。サード江藤の守備力に不安があることを考えれば二岡の守備力は捨て難い。ここは状況に応じて使い分けていくべきか。高橋由の後釜としての3番には清水を指名。1年間フルで使い通せば3割20本は打てる力があるが、ここまでは左投手の時にスタメンから外されたりして扱いが不遇だった。鋭角にバットを出していくことに関しては球界でもトップクラスのフルスインガーで、落ちる球全盛の今において清水の打棒は絶対に欠かせない。左投手も無理なくこなせるセンスはある。 クリーンナップはケガさえ無ければ一定の数字は残せるだろう。ただ、江藤も清原も故障が多く、その手当ては万全では無い。大須賀の抜擢があれば面白いが、そこまでの決断が果たしてベンチに出来るだろうか。仁志はこのくらいの打順の方が持ち味は出る。むしろ彼のウリは年々上手くなっているセカンド守備。阿部は2年目ということで甘えは出来ない。配球のコツは掴んだろうから、何とか投手陣を引っ張っていけるか。打撃も去年のような打率だと少々厳しいかも知れない。最低でも.250は打てる筈。 <総合分析> 全ては投手陣の踏ん張り次第。去年の大阪近鉄のような野球をしようとしても、安定した勝率は残せない。キーマンは上原と三浦と見るが、そこに1枚でも2枚でも新興勢力が食いこまないと苦しい。中継ぎなら鴨志田は即戦力で使えておかしくない。抜擢の価値あり。 後は原新監督の采配。選手への愛情が深いのは伝わってくるが、人の良さだけでは采配は振るえない。時にその情がマイナスに作用しないとも限らない。鬼になった若大将も見てみたい気がする。
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