月の輪通信 日々の想い
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中学の三者懇談。3時にアユコ、3時半にゲン。 その前に、PTAの清掃奉仕に顔を出して・・・とちょっと早めに学校に入ったら、知り合いのお母さんから声をかけられた。 「あれ、いま、ゲン君、保健室に居たみたい。」 校舎に入って階段を上がりきったところで、今度は別のお母さんから 「なんか、顔を氷で冷やしてたよ。怪我でもしたのかな」 ありゃりゃ、なんかあったかな。
清掃を終えて、3時前にアユコの教室へ。 クラブ活動を途中で抜けてきたアユコがやってきて、 「ゲン、だれかとケンカしたみたいよ。」 クラブの一年生の後輩が教えてくれたのだという。 はぁ、やっぱりそうですか。
アユコの懇談を終えてゲンの教室の前に行くと、ひとつ前の親子が懇談の順番を待っていてゲンはまだ来ていない。 「ねぇねぇ、うちのゲン、今日誰かとケンカしてた?」と情報収集。 「なんかね、よくわかんないんだけど、廊下で○組の○君とね・・・。」 と、女の子があらかた状況を教えてくれた。 ふう、怪我もたいしたことはないらしい。
予定の時間ぎりぎりに現れたゲンの右の目尻あたりに赤い引っかき傷。 教室を出たところでよその組のNくんにしつこいちょっかいをかけられ、日ごろから腹に据えかねていたゲンが珍しく逆襲した。廊下でつかみ合いのケンカになり、N君の爪で目じりの脇を派手に引っかかれたのだ。 通りかかった先生やら友達やらが止めてくれて、ゲンは保健室で傷を氷で冷やしてもらっていたのだという。 ま、見た目は派手だが、たいした傷ではなさそうだ。 「いままではずっと無視するか、適当に受け流すかしてたんやけどな。今日はとうとう、やり返してしもた。ごめん。」 ゲン、すまなそうにしきりに頭をかく。
そういえば、最近、しょっちゅう要らぬちょっかいを出してくるやつがいると、愚痴めいたことも言ってたなぁ。 「あまりひどいようなら母が許す。たまにはやり返せ。 必要なら1回や2回、あとで母が頭下げにいくぐらい、してやる。」 と、なだめていたが、どうやらそれを実行してしまったらしい。 幸い相手は怪我をしているわけでもなく、あっちが先に手を出した状況も周りで見ていた人がたくさんいたようで、こちらが謝るような状況ではないらしい。 まぁ、この年頃の男の子にはよくある話。 オニイのときにも、何度も経験したことだ。 オニイは「絶対非暴力」の平和主義を貫いていたから、一方的にやられてくることのほうが多くて、眼鏡を壊されて相手に弁償してもらったことが数回。結果として中学時代、オニイの眼鏡代の出費がゼロだった。 ゲンはオニイと違ってそこそこ「がたい」もよく、腹に据えかねるとわっと感情が爆発するタイプなので、とっくみあいのケンカになってしまったのだろう。 「殴ったりけったりするのは苦手やから、取り合えず『のしかかる』ことにしてん。僕、体重あるしな。」 と笑うゲン。ほう、考えたね。
当然、三者懇談の話題は今日のケンカのことから始まって。 担任のM先生は、日ごろからゲンが何人かの子から軽いちょっかいやからかいを受けていたことを把握していたようで、今日の事の顛末も細かく説明してくれた。 「相手の子には、『今度こんなことをやったら、今度は私がコテンパンにやっつけるよ』ときつく言っておきました。ま、教師は手を出すわけにはいきませんから言葉でのコテンパンですけどね。」と言われた。 華奢な女の先生が、鼻息荒く「コテンパン」なんて言われるものだから、ゲンと二人で笑ってしまった。
今後の対処法として私が忠告したことは二つ。 「逆襲するなら、周りに人が大勢いて、その場の状況を証言してくれるような場所でやること。」 それから、 「けんかが始まったら、味方になって一緒に戦ってくれる友達や、止めに入ってくれる友達までは望めないにしても、せめて『けんかしてる!』と先生か誰かを呼びに走ってくれるような仲間を作っておくこと。」 そのことをM先生にもお話したら、 「その点なら大丈夫。ゲン君にはちゃんと仲間がたくさんいると思いますよ。今日も、『先生、大変や!ゲンがケンカしてる!』と大騒ぎで私を呼びにきてくれた子が何人もいましたから」 とのこと。 そうか、そうか。 ちゃんと助けてくれる友達がたくさんいることがわかってよかったね。
あとで、ゲンが教えてくれたこと。 「ケンカして大騒ぎになってるときにな、何人か先生もとおりかかったんやけど、『やめとけよ』と軽く言って行ってしまう先生もいれば、引き離して保健室まで連れて行ってくれた先生もいる。 先生もいろいろやなぁって思った。」 そうね、いざという時、ホントに頼りにしていい人は誰なのか、よく見ておくと良いね。 ゲンは、人間を見極める目もちゃんと成長しているんだな。
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