月の輪通信 日々の想い
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2007年03月23日(金) 磨く

春休み、前半戦は男の子組。
早々に修了式を終えて部活もお休みのオニイと、卒業式が済んで「小学生でもなく中学生でもない」宙ぶらりんなお休みを楽しむゲン。
いつもより少し寝坊して、いつもどおり登校していくアユコやアプコをパジャマで見送る。
のたりのたりと、春。

力持ちの男の子二人。遊ばせておくのももったいないと、あれこれ仕事を見つけては二人に割振る。
案内状の葉書印刷のプリンター番。
工房の土作りの力仕事。
陶芸教室の準備や片付け。
荷物運び。
そこそこ役に立つ手伝い手になって来た息子たち。

昨日からゲンが取り組んでいるのは、アプコの自転車の整備。
以前から乗っていた幼児用の自転車がすっかり小さくなって、裏の物置においてあったアユコのお下がりの自転車を引っ張り出してきた。
くもの巣がはってハンドルは錆び錆び、タイヤはぺちゃんこで、パステルカラーの前籠もなんだかちょっと煤けてる。
大丈夫かなぁ、乗れるかなぁ。新しい自転車を買わなくちゃ駄目かしらんと迷っていたら、ゲンが整備を引き受けてくれた。

くもの巣や埃をぬぐい、あちこちに油を差し、ペダルやブレーキの状態を確認する。チューブくらいは入れ替えかと見積もっていたが、タイヤに空気を入れてみたら、意外とパンクもしていないらしい。特別遠出もせず、家の周りで乗る分には、十分用が足りそうだ。
今朝は早くから、父さんにサンドペーパーを貰ってきて、ハンドルやスタンドの錆び落としをはじめた。真っ赤に赤錆びたハンドルが、薄皮をはぐように本来のシルバーの素肌をさらしていくのが面白くて、ついつい時間がたつのも忘れて作業にのめりこむ。
唇を尖らせて、ためつすがめつしながら作業に熱中するさまは、すでに立派な頑固な職人気質。最初はそばで一緒に手伝っていたアプコも、あっという間に邪魔にされて、どこかへ消えてしまった。

「どう?すっごくきれいになったやろ?」
赤錆で汚れた手をぬぐいながら、得意満面のゲンが一日の仕事の成果を皆に披露した。
ハンドルも荷台の金具もびっくりするくらいきれいになって、新品のようとは言わないまでも、ずいぶん見られるようになった。
さっそくアプコがやってきて「わぁ、ありがとう」と無邪気に喜んで乗ってみる。
その辺をぐるりと一周して、リンリンと鳴らしてみて、また降りて・・・。
「ちょっとスタンドが硬いみたい」
と言い残して、ふらりと遊びに行ってしまう。
末っ子姫の気ままさ全開。

「・・・一日、自転車磨いてやったのに、感想はそれだけかい」
ぶうぶう言いながらもスタンドのあちこちに機械油をさしてみるゲン。
いいおにいちゃんになったなぁ。




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