月の輪通信 日々の想い
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ゲン、卒業式。 朝、窓を見たら雪。 この冬初めてじゃないかしら。 ついこの間までトレーナー一枚で出かけられる程のぽかぽか陽気だったというのに、何この寒さは? 在校生が工夫を凝らして飾りつけた体育館はしんしんと冷えて、卒業式らしい張り詰めた空気が懐かしい。 卒業式日和の寒さだった。
身に添わぬ卒業式のおめかし服で身を包んで、ゲンも卒業生の列に並ぶ。 やせっぽちのオチビさんで小学校を卒業したオニイに比べて、体格だけは大柄に成長したゲン。着慣れない紺のセーターに子ども仕様のインスタントネクタイを締めただけでずいぶん大人びて見える気がする。 名前を呼ばれ、壇上に上がった卒業生は一言ずつ中学校生活に向けての抱負や将来の夢を語ってから卒業証書を受け取る。 「中学に入ったら、勉強と部活を頑張ります。」 「大きくなったらパティシエになって美味しいお菓子をみんなにたべさせたいです。」 決められた卒業式の演出とは言うものの、幼い子どもたちがまっすぐに自分の将来の夢を語り、大きな声で決意を表明する姿はすがすがしく美しい。 たとえ何年か後には、照れ笑いやほろ苦さとともに思い出すことになる夢や決意であっても。 ちなみに、ゲンの言葉は、 「僕は大きくなったら陶芸家になりたいです。」 思わず、隣の席の父さんと顔を見合わせ、「あらら、言っちゃった」と肩をすくめた。 嬉しくもあり、ちょっと気恥ずかしくもあり。 父と母。
大らかに育んでくださる先生方に恵まれ、広大な学級園や裏山など野生児ゲンの感性を満たす自然環境に恵まれ、支えたり支えられたり気持ちを通い合わせることのできる友人たちに恵まれ、ゲンにとっては本当にいい小学校だった。 卒業おめでとう。
BBS
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