月の輪通信 日々の想い
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2007年02月26日(月) 青豆を煮る

2月だというのに春のような陽気。
昼下がり、上着も着ずに薄手のセーター一枚でアプコを迎えに出る。
少し歩くともう汗を掻くかと言う暖かさ。
学校のほうからかけてきたアプコは、朝着ていったトレーナーをうるさそうに腰に結んで、Tシャツの袖をひじまで捲り上げて笑っている。

「きょうはKちゃんと遊んでもいい?」
とアプコが言うので、とちゅうで一年生のKちゃんちへ寄り道。
「お母さんもよかったらお茶でもどう?」というお言葉に甘えて、母も久々にKちゃん母と井戸端会議。
ここのところ、工房での仕事やPTAのお役目に追われて、バタバタと走り回る日々が続いて、友達とのんびりおしゃべりを楽しむ時間もすっかり忘れていた。
大きなマグカップに入れてもらったコーヒーに、たっぷりのミルクとお砂糖を入れてくるくる混ぜる。子どもたちがTVの画面に向かってコントローラーを振り回す例の最新のゲームを楽しむ間、たわいないおしゃべりに花を咲かせる。
楽しい時間だった。

帰り際、Kちゃん母が「こんなの食べる?」と、ワシャワシャとナイロン袋に入れてくれたのは青いお豆。田舎からおくってもらったお豆だそうだ。水で戻してさっとゆでて浸し豆のようにして食べるといいという。青大豆というのかな。
冬の間、ストーブの上で長い時間コトコト煮ていた普通の大豆と違って、青豆は短時間煮ただけで青々した色を少し残してさらっと煮上がる。
生煮えのお鍋から一粒二粒つまんでみると、青臭い香りがしてさっくりした歯ざわりが楽しい。
乾燥豆のことだから、いつが旬というわけでもないのだろうけれど、まさに春のお豆だなぁと嬉しくなる。

昔読んだ小説で、長い冬を雪に閉ざされた山中の小屋で暮らし、春を目前に食糧不足と壊血病でピンチに陥る白人家族のお話があった。
いよいよ駄目かという時に、突然訪れてきたインディアンがなけなしの食料を分けてくれ、その中に一握りの豆が含まれている。そして豆はそのまま煮て食べるのではなくて、発芽させてその芽をたべて壊血病を防ぐのだと教えられる。
長く厳しい冬をやり過ごすインディアンの知恵。
そんなことを思いながら、Kちゃんちの青豆を煮た。


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