月の輪通信 日々の想い
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2007年01月26日(金) 時代と闘う

父さんの個展3日目。
一日中、百貨店のギャラリーに缶詰。帰宅後、早朝に工房で仕事。
会期前よりさらにハードワークな毎日が続く。
頑張れ。

で、私は午後から和太鼓の練習日。
戻ってから早めの夕食をとらせて、夜剣道。
ゲンを道場に送って、その足で中学の学年懇談会。
途中で抜け出して、ゲンの迎え。
帰宅後、今度は父さんの迎え。
こちらも時計を睨みながらのハードスケジュール。
参った。

アユコの中学は、今年度に入ってから校内が荒れている。器物損壊や授業妨害、教室でのお菓子の飲食などなど、時にはパトカーだの消防車だのが出動するような事件も起こっている。
先生方もPTA役員たちも、本当に心を尽くして、一生懸命対策に走り回って下さっているのだけれど、一度転がり始めた玉を押し戻すのにはそれなりの時間と労力が必要なわけで、一朝一夕に学習環境の改善とまでは行かないようだ。

今日の学年懇談で学年委員さんたちが保護者に向けて提案されたのは3つのチェックポイント。
「携帯電話を学校へ持ち込ませない。飴やお菓子類を持ってこさせない。茶髪で学校に来させない。」
まともな中学生にとっては、馬鹿馬鹿しいようなルールなのだけれど、実はこんな単純なことが、格別不良というわけでもない普通の生徒たちの間でもなかなか守られなくなってきているのだという。

懇談では特に子どもの携帯電話についての話題が白熱した。
校則ではもちろん中学生の携帯電話の校内持ち込みは禁止。
けれども実際には、かなりの子どもが持ってきていて、校内で授業中のメールのやりとりをしたり、ゲーム、音楽を聴くなどの現場が見つかっているという。
また、女の子たちの間ではメールの返事が遅かったの、傷つく言葉を送られただの、些細な事でいざこざが起きる。
日に何時間もくだらないメールのやり取りで時間を費やす生徒もいる。
夜間や授業中にメールでの呼び出し。
悪質サイトへのアクセス。
携帯電話を介しての子どもたちへの悪影響は、大人たちの想像以上に深刻になってきているらしい。
塾や稽古事の行き帰りの連絡や防犯上に必要との名目で子どもに携帯電話を持つことを許している家庭も多いと聞く。
「子どもの安全のために」という大義名分で買い与えた携帯電話には、こんなに多くの弊害もまた付随しているのだというお話だった。

ある一人の先生が言われた。
「私たちが生徒たちの年齢の時には、携帯電話なんて代物は身近には存在しなかったし、それを中学生の子どもが持つようになるなんてことは想像すら出来なかった。
でも今の子達は、生まれたときから当たり前に身の回りに携帯電話があった。メールのルールも携帯電話の弊害もちゃんと教えられないうちから、便利さだけを与えられてきた子どもたちです。
私たちもまた、子どもたちに携帯電話を持たせたらどういうことが起こるかということをきちんと学ばないうちに、買い与えていませんか。
世の中は各人一個の携帯を所持するのが当たり前というような風潮になってきています。
『中学生は携帯電話禁止』というのは、ある意味、子どもたちとの戦いというよりは、時代との戦いだと思います。
本当に闘う気があるなら、『学校へ持っていくのはダメ、家においていきなさい』なんて甘いことでは駄目。さっさと子どもの携帯電話を解約してしまうことです。」
保護者の間からは初めて拍手が起こった。

大人が子どもたちを叱らなくなったという。
「駄目なものは駄目なんじゃい!」という、頭ごなしの叱り方のできる大人がいなくなった。
子どもたちの話は最優先で聞いてやりましょう。
子どもたちの希望は出来る限りかなえてやりましょう。
そんな理解ある大人ばかりが子どもたちの周りに取りまいている。
「みんなが持ってるから」といわれれば、わが子にも同じものを持たさないわけには行かないと揺らいでしまう保護者。
「言っても聞かないから、学校で厳しく指導して下さい。」と学校にお鉢を預ける弱腰な保護者。
みんながみんな子どものよき理解者になってしまいつつある現代の弊害が、今の中学校の荒れに繋がっているのだなぁと改めて思う。

我が家の子どもたちはみな、校則違反もしないし、真面目でいい子。
荒れた中学校の問題も、どこか一歩引いたところで眺めてきた私。
「時代と闘う」という言葉を糸口に、親と子の関係を自分と家庭の中だけではなく社会全体の問題としての認識を迫られた気がして、目からうろこの落ちる思いがした。




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