月の輪通信 日々の想い
目次|過去|未来
元旦。
・父さんはゲンとアプコをつれて、地域のご来迎登山へ。 集合場所まで車で送り、帰りにコンビニを5,6件はしごして、昨日買い忘れたお祝箸を探す。 年頭から、お間抜けな買い物。 昨晩、遅くまで工房の仕事をしていて、結局年越しのお仕事は何もしなかった。夕飯にバタバタと年越しのおそばを食べ、紅白を小耳に聞きながら「あ、お祝箸、買うの忘れた!」と、気がついた。 我が家のお祝箸は毎年年末に、義父が伏見稲荷にお参りした折に頂いて来たものをみんなで使う。最近義父は長時間の歩行が難しくなり、毎月の月参りにもいけなくなり、お箸を頂いていなかったのをすっかり忘れていた。
・おせち料理の準備もほとんど何も手をつけていなかったので、朝から鶏肉団子やらから揚げやらお子様向けのオードブルのようなものを拵えてお茶を濁す。 義母も、年が明けてからようやくお煮しめを何種か煮ただけで、あとは出来合いのおせちセットと蒲鉾やだし巻き卵をお重に詰める。 あとは、義姉が作ってきたおせち料理を一緒にテーブルに並べて。 重箱は、長年使い込んだ2組の陶器製。先代さん作。
・一日のお雑煮は、白味噌仕立て。 具は雑煮大根、金時人参、さといも、焼き豆腐。 お雑煮に入れる野菜は「円満に」と言う意味で丸く輪切り。 もう何十年もこの家のお雑煮を拵えてきた義母が 「大根はどう切るんだったっけねぇ、短冊でよかったのかしらん?」と私に訊く。 「せっかくお雑煮用の大根を買ってきたんだから、わっかに切りましょうよ。」と答えたけれど、義母はなんとなく納得がいかなかったようだ。 最後の味付けも、白味噌を解いて何度も味見しながら、 「甘すぎるかしらんねぇ」と首をかしげる。 「少し赤味噌を足して見ましょうか」 白味噌ベースで少し赤味噌を足すのも、義母から何度も伝え聞いた雑煮の味。忘れてしまわれたか。
・山から帰ってきた父さんがいつも箱書きに使う硯をきれいに洗って、新しい墨を磨り細筆をそろえ、義父を呼んでお祝箸の箸袋に家族の名前を書いてもらう。 3家族12人分。 余分の3膳は取り箸用、「海山」と書く。(海のもの、山のものを取り分けるという意味で) ついでにお年玉用のぽち袋にも孫たちの名前を書いて貰う。 最近、義父の箱書きの文字が少し小さくなったように思う。本人も、筆文字が億劫になってきたようなことを漏らしておられた。
・遅れて起きてこられたひいばあちゃん。 「おお、なにやらご馳走やなぁ。」と第一声。 「今日はお正月だからね。」と子どもたちがひいばあちゃんの耳元で大きな声で言う。 「ほほう、そうかいな。」 と初めて気がついたようなご様子。 昨日、お重箱が出してあるのを見かけて、「あした、ここへご馳走詰めるんやなぁ」と楽しみにしておられたのに、そのことも忘れていらしたらしい。 ひいばあちゃんは、今年のお誕生日で100歳。 このくらい長生きしたら、「気がついたら、今日がお正月だった」っていう朝を迎えるのも、悪くないね。
ひいばあちゃんや義父母も年を重ねて、子どもたちも大きくなって、我が家のお正月の朝も少しづつ変化しつつある。 来年のお正月はまた、今年とは違うもののなるだろう。 覚えのために、ここに書き留めておくことにする。
BBS
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