月の輪通信 日々の想い
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いつものようにアプコを迎えに出かける。 ここ数日の間に日差しはすっかり柔らかくなって、暑い暑いといいながらも時折吹く風に鼻がピクピク動いたりする。 空の色もすっかり秋の青。
遠くから私の姿を見つけて、アプコがぴゅーっと駆け寄ってくる。 カッタカッタとランドセルが揺れて、ノートや鉛筆が今にも飛び出してきそうだ。ずいぶんしっかり走れるようになったなぁと改めて小さいアプコの日焼けした手足を見る。 このぐらいの年齢の子は、夏の間の成長がめまぐるしくて、秋風の吹く頃にはその変化の大きさにいつもいつも驚かされる。
「おかあさん、あのね、きょうね、お友だちと約束したよ。 いっぱいお友達が遊びに来るよ。ジュース、冷蔵庫にあるかなぁ。 あのね、Nちゃんはりんごジュースは嫌いなんだって。オレンジよりおいしいのにねぇ。それでね・・・。」 アプコの機関銃のような連続砲火。 おいおい、ちょっとまて。 それって、今日のこと? うちにお友だちをたくさん呼んだのね。 何人?どの辺のおうちの子? どこで何時に待ち合わせ? 「若宮神社で待ち合わせ!」とるんるんしてるから、「何時に?」と聞くと「帰ったらすぐ」ととってもアバウトなお答え。 そうでした、低学年の子のお約束って、とっても大らかだったのよね。
大急ぎで待ち合わせ場所へ車で駆けつけたけれど、案の定なかなかお友達は揃わない。公園の入り口に車を停めて、待つこと40分。結局全員を収容して帰ってきたのが4時。 みんな、門限が5時だから、一時間弱しか遊べない。おやつ食べておしゃべりして折り紙だか粘土だかちょっと遊んで、すぐにお片づけ。ピーチクうるさい少女たちを再びトッポに詰め込んで、それぞれのおうちに「配達」してバイバイ。 はぁ、午後いっぱいすっかりつぶれました。
それにしても、小さい女の子たちが4人も集まるとにぎやかなこと! なんでもないことでくすくす笑ったり、頬を寄せ合ったり、鼻歌を歌ったり、おしくらまんじゅうしたり・・・。小さな子犬の群れみたいに、しょっちゅうフルフル揺れて笑いさざめいている。 小さな軽自動車の後部座席にギュウギュウ4人並んで座ってワイワイ走ると、舗装されていない地道のでこぼこが楽しくて、ジェットコースターにでも乗っているように、キャアキャアと歓声を上げる。 子どもの笑い声っていいなぁと私までうれしくなる。
アプコが、近所のKちゃん以外のお友だちを連れてくるのは久しぶり。 「おかあさん、あたしね、このごろあの子達と一緒に遊ぶのが楽しくて楽しくてたまらないの。また一緒に遊んでいい?」 帰りの車の中で、アプコが興奮冷めやらぬ声で言った。 そういえばちょっと前まで、「あたしこのごろ一人で遊んでるの」とぼそぼそ言ってたアプコ。「そんなときもあってもいいよ」と慰めて様子を見てたのだけど、やっぱり仲良しの友達がいっぱいいるって言うのは楽しいことだ。 助手席でなにやらケラケラと思い出し笑いしているアプコの屈託のない笑顔が、そう語っている。
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