月の輪通信 日々の想い
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2006年08月25日(金) 父不在

今朝早く、父さんが旅行に出た。
毎年恒例の取材旅行。今年は3泊4日の屋久島。
もののけ姫の森を見てくるのだという。
登山用のリュックにカメラや画材を詰め込んで、ごつい登山靴で電車に乗った。背負うと後ろに倒れそうなくらい重いリュック。あれで、ちゃんと山道を歩けるんだろうか。
出発ぎりぎりまで留守中の仕事の段取りや地蔵盆のあれこれで休むまもなく働いていた父さん。無理せず、ゆっくりと一人旅を楽しんできてもらいたい。
実り多い旅になりますように・・・。

父さんのいない数日間。
すっかり気を抜いて、主婦業を半ば放棄する母を横目に、オニイはにわかに父さん化し、アユコは口うるさい小姑化する。
夏休み後半戦。
珍しく早々に宿題を終えてすっきりと夏の終わりを迎えるオニイは、父さんの留守中、いつまでも終わらない宿題を抱えて悶々と過ごす弟妹たちにお説教を垂れる。
それから、アユコがにわかに口うるさくなって、「お母さん、クーラーつけたまんま寝ちゃダメだよー!」とか、「今日のご飯、野菜すくないよー」とか、だらけた母を叱りに来る。
どこまでも長男長女気質だなぁ。

それとは逆に、下の二人はなんとなく普段より甘えんぼになる。
ゲンは、妙に母にべたべたくっついてきて、息つくまもなくくだらないおしゃべりをする。
アプコは、いつもより数倍甘えん坊になって、「一人でお風呂に入れない!」と駄々をこねて、オニイやアユコに叱られてべそをかく。
どこまでも末っ子気質。

父さんモードのオニイのお説教は、よく聞いていると私や父さんの口調にそっくり。脅したり賺したりのタイミングまで計ったようにおんなじだ。
そして母のぐうたらをさらっと指摘するアユコの物言いはアタシそっくり。面と向かって糾弾するわけではないけれど、ピリッと嫌味のエッセンスは効いているのね。

親の後姿をみながら子は育つというけれど、叱り方、諭し方までこんなに似るものかと冷や汗が出る。
小さい頃から、自分自身が叱られたこと、お説教されたこと、教えられたことなどが、本人の好む好まざるを問わず、こんなふうに知らず知らずのうちに身に染み付いていて、自分が叱る立場になったとき、自分が言われたのとそっくり同じの口調となって出てくるのだろう。
今、私たちが子どもたちを叱る言葉は、そのまま将来子どもたちが自分たちの子どもを叱る言葉になっていくのだということの怖さをちょっと思い知った。

ところで、この夏、私と父さんは久々に夫婦二人して人に叱られるという経験をした。
子の親となり、一人前の大人の顔をして生活していると、「叱る」ということは日常茶飯事になっているが、「叱られる」経験をする機会は滅多にない。
それだけに親身に叱ってくださる人の言葉は胸に痛いが、一方でまだ自分を叱ってくれる人がいるという有難さに心は暖かくなる。
「叱る」立場に安穏として胡坐をかいていてはいけない。
まだまだ、人に叱られて凹んで変わる事のできる年代を生きているのだということを、改めて思う夏だった。


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