月の輪通信 日々の想い
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夏休みも終盤。 この夏、男の子たちは早々に夏休みの宿題をほぼ終えたらしい。 意外なことに、この時期になって残った宿題の山にため息をついているのは、いつもなら生真面目に早めにコツコツ片付けているはずのアユコとアプコ。アプコは毎日熱心に遊びすぎて、アユコは貧血やら熱中症やら体調不良の日が多くて、ついつい集中して宿題を済ませる時間が取れなかったのだろう。 ま、そんな夏もある。
今日は工房の地蔵盆。 昨日のうちにお供えのお菓子の袋詰めも済んだ。 子どもたちの名前を刻んだ紅白の提灯も灯した。 古くなったお地蔵さんの前掛けも、大慌てで新調した。 大きなスイカとご近所から頂いたお供えのお菓子を供え、お寺さんのお勤めを頂くための椅子も並べた。 今年は部活に忙しいオニイに代わって、ゲンが買い物やら掃除やらずいぶんマメに動き回ってくれて、助かった。提灯吊りの助手を務めたり、木魚やりん(鈴)を手配したりする要領もよくなって、「使えるようになったな」という感じ。 世代交代の時期だなぁ。
世代交代といえば、今日はいつもお参りに来てくださるおっさん(おしょうさん)がお留守で、代わりのお坊さんがやって来られると聞いていた。 おっさんと同じ寺の旧式のバイクで来られたのは、時々月参りにも来てくださる若い修行中のお坊さん。そういえば、去年の地蔵盆もこの若いお坊さんがいらしてくださったんだった。 「本日、和尚は葬儀のお勤めがございまして、代参で参りました。」とまだ初々しいご挨拶。子どもたちにも、「地蔵盆は子どもさんたちのお祭ですからね、よくおつとめくださいね。」と声をかけていただいた。 いつもおっさんが持ってこられるのとよく似た黒い大きなカバンから出してこられたのは分厚いクリアファイル。中には様々な経文の書かれた書類がたくさん入っている様子。きっとお寺で予習してこられた地蔵盆用のおつとめの資料なのだろう。 お経の順番やお焼香の手順が書かれているらしい手書きのメモに一渡り目を通して、コホンコホンと咳払いをして席につかれた。新米の教育実習生のような緊張ぶりが伝わってきて微笑ましい。 お坊さんというお仕事も、最初はこんな風に自ら勉強しながらの実践から始まるのだろう。
若いすがすがしい読経の声はよどみなく続き、子どもたちも揃って手を合わせた。 お坊さんは今年初めて参加した幼いKちゃんに、丁寧にお焼香の作法を教えてくださり、「ようお参り下さいました。」と、おっさんと同じ口調で締めくくり手を合わせて頭を下げられた。 子どもたちのお祭、地蔵盆にふさわしい初々しいおつとめだった。
お参りのあと、小袋に分けたお供えのお下がりをご近所に配る。 本当なら地蔵盆のお下がりは近所の子どもに配るのだけれど、我が家のご近所には子どものいる家は少ない。20個用意したお下がりの半分は大人ばかりのおうちに配る。 いつもお届けするMさんもいわゆる独居老人。 「一人じゃお菓子も何ぼも食べへんようになったからなぁ。」 と、今年はゲンが持っていったお下がりをお断りになった。 その代わり、今年は春に同居の息子さん夫婦に待望のお孫さんが生まれたFさんのお宅にチョコボールやラムネ菓子の入ったお子様向きのお下がりの袋を届けた。お誕生前の赤ちゃんには、今年はまだまだ食べられないお菓子だけれど、来年の地蔵盆の頃にはいっしょにお地蔵さんに手を合わすことが出来るようになっているだろう。 これもまた、世代交代。
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