月の輪通信 日々の想い
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2006年06月12日(月) マイク無し

アユコ、一泊二日の宿泊学習から帰ってきた。
琵琶湖でカヌーやカヤックなどウォータースポーツを体験して、夜は花火や肝試し。二日目のお昼ご飯にはパエリヤを自分たちで作って食べた。
すばらしく楽しかったらしい。
ちょっと日焼けして帰ったアユコ。
「洗濯物がいっぱいあるんだけど」と開いたカバン。
「うわぁ、琵琶湖の匂いがする!お母さん嗅いで見る?」
遠慮しとくよ。
その匂いが「琵琶湖の匂い」と思えるのは、琵琶湖の明るい日差しと水しぶきの楽しさを十分に味わってきたあなただけ。
お母さんには、ただの汗の匂い。

で、少し前のことだけれど、この宿泊学習の保護者向けの説明会でのこと。
お知らせのプリントをもらって体育館に集まってきたのは、学年の三分の一くらいの保護者だったろうか。広い体育館にパイプ椅子が並べてあって、ほぼ満席だった。

学年主任の先生が前に立って、話し始めた。
「ここに、マイクはあるんですが、あえて今日はこれを使わないでお話しようと思っています。
と言うのは、今年の2年生の生徒たちは、集会などのとき、この同じ場所で5クラス全員入ってもマイク無しでちゃんと最後まで話が聴ける子どもたちなのです。やんちゃなヤツやうるさいヤツも中にはいますが、全体として素直なまとまりのよい学年だと思います。」

近頃は、小学校でも中学校でも、参観や説明会など大勢が集まる場での保護者の私語や携帯電話の着信音などの基本的なマナーがひどいときがある。先生方も、生徒相手と違って保護者を大声で叱ることも出来ず、歯がゆい想いをしていらっしゃるだろうなぁと思うことも多い。
この学年主任の先生も、子どもたちのことを褒めるような形をとりながら、さりげなく説明会に来た保護者の私語を最初に制しておくつもりだっったのだろう。けれどもその話の展開には、さりげなく自分たちが教えている子どもたちへの信頼も感じられ、何となく好感の持てる話し振りに思われた。

後日、他の集まりである保護者がこの説明会での先生の態度を不快だったと評しておられるのを聞いた。
「保護者は生徒ではないのだから、大勢人が集まる場ではマイクぐらい使うのが常識だろう。先生の物言いにも、保護者まで『教育してやろう』という意識が見え隠れして、傲慢な感じを受けた。」という。実際後ろの方の席では付き添ってきた幼児がむずかったりして、先生の話はさっぱり聞こえなかったのだそうだ。
私自身は席が前から2列目だったから先生のお話は全てよく聞こえると思ったのだけれど、当日2,3列後ろにおられた別の保護者も話の内容が聞き取りにくかったのだと言う。

用意された席の真ん中あたりで聞き取りにくいというなら、やはりマイクは必要だったのだろうか。
生徒たちの集会でなら、最後尾の生徒にまでマイク無しの声が通るというのに、何故保護者だと聞こえないのだろう。
そもそも、本当に生徒たちは普段、マイク無しの先生の声をちゃんと聞き取れているんだろうか。
先生が保護者に対して「お静かに」と釘を刺すのは、ほんとに「傲慢」なんだろうか。

私自身は「マイク無しで話を聞ける生徒たち」のお話で、先生方と子どもたちの信頼関係を「嬉しい」と思って聞いていただけに、「傲慢」と受け取った保護者が結構いたということがちょっと意外だった。
ま、受け取り方は人それぞれ、いろいろあるということか。


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