月の輪通信 日々の想い
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2006年06月10日(土) 深夜の声

夜中、一人でPCの前に座っていたら、すぐ後ろで寝ている父さんが奇声をあげた。
「おーぅ、おーぅ、おーぅ」
と獣が吼えるような長いうなり声。
ああ、ビックリした。
すぐに父さんの寝言だとわかったけれど、その声は普段聞いた事のない不気味な感じの叫び声で、ドキドキして聞いてるほうまで怖くなった。
急いで父さんを揺り起こしたら、「誰かが椅子を振り上げて・・・」とあいまいな夢の中身を説明しかけて、すぐまたストンと寝てしまった。
きっと怖い夢を見ていたんだな。
昼間の疲れやストレスが、短い仮眠の夢の中に怖い影を忍び込ませるのだろう。内面に秘めた焦燥や切迫感を、寝言という形で振り払おうとする父さんの頑張りを痛ましいと思ったり、いとおしいと思ったり。

また個展が近い。
昨日あたりから追い込みモードに入ったらしい。
外出する用事や外からの電話を避けたがり、食事と仮眠の時間以外はほぼ工房に行ったきり。
話しかけても答えが上の空だったり、そのくせくだらないお笑い番組に過剰なくらい馬鹿笑いしていたり。
肩こり、腰痛、眼精疲労。
お決まりのフルコース。
そして夜中の寝言は、数年に一度のオプションだ。

結婚して15年余。
ようやく個展前の父さんの心理状態と行動パターンが予測出来るようになってきた。
この時期にはあたらず触らず、仕事三昧をそっと放置しておくのが吉。
夜食用のスナック類とスタミナ補給のニンニク。
そしてもう2,3日もすれば、ここ一番のドリンク剤。
私が世話を焼くことが出来るのはせいぜいその程度。
あとは黙って見ているしかないのだ。
年齢を重ねて、若い頃ほどの徹夜仕事は出来なくなったとこぼす夫の後姿をただただ見守る。


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