月の輪通信 日々の想い
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誕生プレゼントとして、念願のカラフルな外国産クワガタムシをゲットしたばかりのゲンに、再びサプライズなプレゼントが届いた。 黒光りする大型のアンタエウスクワガタのペア。 昨日もらった小型のパプアキンイロクワガタも嬉しかったけれど、こちらはオークションなどでも高値の花と思っていた希少品種。ずっしりと持ち重りのするボディは良く出来た精密機械のようで、昆虫好きにはたまらないかっこよさ。 ・・・らしい。 (ゲンのおかげで母もずいぶん外国産の昆虫の長い名前を覚えた。・・・だからって、とくべつに毎日の生活が豊かになるってわけでもないけれど・・・。)
プレゼントの贈り主は父さんの大学時代の同級生Oさん。。 最近父さんは同窓会の幹事役をつとめていて、その名簿作成のために十数年ぶりに連絡を取ったのだという。 「やぁ、久しぶり、どうしてる」で始まって、仕事のことやら子どものことやら話しているうちに、ゲンの昆虫好きが話題に上った。 すると、何とOさんは陶芸の仕事の傍ら、趣味で外国産の昆虫を繁殖させてたくさん飼育しているという。 電話したのがたまたまゲンの誕生日だったというので、その人は奇縁を面白がって秘蔵のクワガタをゲンのために送ってくださることになった。 通販サイトなどを通じて、外国産の昆虫のビックリするような高値を知ったあとだけに、いただいてよいものかどうか父さんも困惑していたのだけれど、結局「誕生日なんだから」と気前よく譲ってくださるOさんのご好意に甘えることになった。
たまたまゲンの誕生日に父さんが十数年ぶりに電話した友人が昆虫好きで、これまた偶然息子の昆虫好きが話題に上って・・・。 いくつものラッキーな偶然が重なって送られてきたバースディプレゼント。 「好き」も高じるとこんなふうに、知らぬ間にラッキーな偶然を招き入れてしまうエネルギーが生まれてくるものなのかもしれない。 まさに「棚からぼた餅」でやってきた幸運にゲンは天にも上る心地のようだ。 お礼にかけた電話では、直接Oさんから頂いたクワガタの特徴や飼育方法を いろいろ伺ってまたまた大喜び。ゲンにとってOさんは、すっかり「気前のいい昆虫の神様」になってしまった。
こうしてゲンの学習机には、大きな飼育ケースがまた一つ増えた。 漢字ドリルや計算ドリルをやっつけながら、夢見る瞳でうっとりと飼育ケースを眺めるゲン。 「繁殖しやすい品種らしいから、いっぱい卵を産むといいな。」 「大型種は餌をかなり食うらしいから、また昆虫ゼリーを買っておかなくては・・・」 と頭の中はクワガタのことでいっぱい。 「コイツ、幸せそうやなぁ。ここんとこ、クワガタ三昧やなぁ」 オニイが呆れてため息をついた。 そうそう、昆虫シーズンはまだ始まったばかり。 至福の夏はこれからやってくるのだ。
・・・近頃、ゲンの机のそばによると森の匂いがする。 気のせいだろうか。
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