月の輪通信 日々の想い
目次|過去|未来
中学、高校ともに中間試験一週間前。 部活動も稽古事もいったんお休み。とりあえず形だけでも試験勉強に専念せよというわけで・・・・。お兄さんお姉さんたちは確かにいつもより遅くまで起きて部屋で何かごそごそやっている様子。 難問問題集に取り組んでいるのか、読みかけの小説本をめくっているのか、プラモの塗装の修正をしているのか、はたまたCD聴きながら涎垂らして居眠りしているのか、母は知らない。 知ろうとしないことにしている。
アユコの今年の担任の先生は、若い体育会系のK先生。 毎年K先生のクラスはテンションが高くて盛り上ると子どもたちにも保護者にも評判がいい。見ているとK先生はいつもパタパタ走り回っている感じでちょっと落ち着かない気もするけれど、その「大人子ども」のような楽しさと「締めるときは締める」厳しさが人気の秘密らしい。 アユコは去年、学年の中でももっとも盛り上がりに欠けるツマラナイM先生のクラスだったので、今年はK先生のクラスのハイテンションに戸惑いながらも楽しんで加わっているようだ。
「Kセンセったらね、パプリカ(赤ピーマン)を知らなかったンよ。 給食にパプリカが出たときね、『わ、これ、めっちゃうまいやん。初めて喰った!』って感激してはるねん。後で他の先生に『パプリカ』って言う名前、訊いてたらしいで。」 アユコが教えてくれるエピソードだけでも、K先生のヤンチャ坊主のようなはじけた先生振りがうかがわれる。
そのK先生が中間試験に向けて面白いことを言い出したという。 みんなが家で試験勉強した時間をきいて積算し、クラスの学習時間の平均を発表するのだという。一人一人の学習時間を公表するわけではない。発表するのは、あくまでもクラス全体の合計学習時間と一人当たりの平均学習時間のみ。 それをあらかじめ決めておいた目標時間と比較したりしながら、「皆でもっと勉強しようよ」と盛り上がっているのだという。 ははぁん、体育会系の先生らしい発想だなぁ。愉快、愉快。
試験勉強なんてあくまでも個人の問題だから、生徒たち一人一人に学習計画を立てさせたり、目標数値を設定したりするのはよくあることだけれど、クラス全員の学習時間を合計したり、平均学習時間を提示してハッパをかけたりする先生、珍しいんじゃないかしら。 「アタシ、昨日は1時間しか出来なかったわ」とホントは何時間も頑張ってたくせにやってないふりをしたり、「昨日は徹夜しちゃった!」とやってもいないのに見栄を張ってみたり・・・。中高生の頃の試験勉強って、どこか個人的に競い合ったり欺きあったりして頑張るものというようなイメージがあったのだけれど、「試験勉強もクラス皆でがんばっちゃお!」という発想が、なんだかあっけらかんとしとしていて、楽しい。 いい先生だなと思う。
「試験勉強なんて、時間さえかけりゃいいってモンでもないよ。いかに集中して要領よくやるかってことさ。」 なんて、分かりきったツッコミはなし。 取り合えず、子どもが部屋にこもって机に向かっていれば、「ああ、勉強してるんだな。」と都合よく解釈したい母ですから。
|