月の輪通信 日々の想い
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2006年03月05日(日) 確認

朝一番に起きてきたゲンが、「おはよう」と笑いながら擦り寄ってきて、私の左の腕をおずおずと掴んだ。
「何?なんか用?」
と訊くと
「なんでもないよ。」
とへらへら笑ってまたぎゅっと私の腕を掴む。

変なの・・・。
なによなによとしつこく訊いたら、
「あのな、昨夜怖い夢見てん。ちょっと言いにくいんやけど・・・。」
と口ごもる。
「わかった。お母さんが居なくなる夢、見たんでしょ。」
「うん、そう。お母さんのお葬式の夢。」
「あらら、死んじゃったか。」
「うん、運動場で火葬してた。怖かった。」

5年生にもなって、まだまだ怖がりのゲン。
怖い夢から覚めて、朝の母の顔を見て、ぎゅっとその腕を掴んで存在を確認してみたくなる。そんな気持ちの揺らぎをそのまま行動に移してしまうゲンの幼さ。
一週間の父さんの不在が、何かしら不安な気持ちを掻き立てたのだろうか。
オニイの受験結果とその後のオニイと私のオロオロやイライラが、怖い夢を誘ったのだろうか。
私は4児の母。
どの子にも等しく4倍の愛で・・・と思うけれど、時には一人のことでいっぱいいっぱいになって、他の子たちに知らず知らずのうちに不安な思いをさせてしまうことがある。
ここ数日の不安定な気分の名残を悔いる。

「で、さ。お母さんは天国へ行ったと思う?地獄へ行ったと思う?」
「多分、天国と思うけど。」
「あ、そう。よかった、地獄じゃなくて。」
「うん、よかった。」
「それにね、お葬式の夢を見るといいことがあるっていうよ。ゲン、今日はなにかいいことあるかもしれないね。」
「ホント?ほんとにそうだったらいいのになぁ」
調べてみると葬儀の夢は、自分の中の古いものが終わって新しいものが生まれてくる再生を意味するのだそうだ。

このごろ急に背が伸び、ちょっとふっくらしてきたゲン。
まだまだ、お子様のやわらかさを残したゲンの頬をぎゅっと摘んでくしゃくしゃにする。
体をよじって逃げていくゲンの笑顔が今日の私の活力になる。
いいお天気の春の一日。


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