月の輪通信 日々の想い
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2006年02月26日(日) 父さんの青

いよいよ個展準備最終日。
明日の朝には、たくさんの作品をワゴン車に積み込んで、父さんと義兄が東京へ向かう。
工房では最終の窯出し。出てきた作品が冷めるのを待って、華入の内側にシリコン溶剤を塗って防水処理をする。
霞にけぶる春の野山を描いた華入の淡い色合い。
いいなぁと思う。
窯から出たばかりの新作に描かれた穏やかな春の景色を誰よりも早く目にすることの出来る妻の特権。

午後から出品作品のリストチェックと梱包の作業。
義兄の作ったリストに従い、80点あまりの作品に品番シールを貼り、薄様とミラマットで梱包して段ボール箱に詰める。
今回は窯展ではなく、父さん個人の個展なので少し前に作った作品も出品する。数年前に作ったモンゴルの陶額や富士山の華入など懐かしい作品の包みも再び開ける。
毎回毎回、展覧会のたびに新しい作品を次々に生み出していく父さん。こうして以前の作品と最近の新作を並べてみてみると、扱う風景やテーマだけでなく、削りの技術や釉薬掛けの工夫も時を経るごとに変化して洗練されてきていることがよくわかる。

何点目かに開いたのは、沖縄の紺碧の海を切り取ったような平型の華入。
コバルトやうす青、紫などの釉薬を微妙に塗り重ねた海の色が、使い古した梱包材の中から現れると、その鮮やかな青に思わず作業の手が止まった.
私は沖縄の海をみたことはないけれど、夫の作る作品の青で南国の海の晴れやかな海と空を味わう。
これだけの作品を作り出す手が、今、私のすぐそばにいるこの人の手だということの不思議。


   吉向孝造  陶彩展 

   2006年 2月28日(火)〜3月6日(月)10:00〜19:30
               (最終日17時閉場)

   東京 池袋三越  4階 アートギャラリー


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