月の輪通信 日々の想い
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朝、生協の荷受のときにお隣のIさんが 「あら、側溝の落ち葉、掃除してくれはったんやねぇ。」 と言われた。 我が家とお隣の家の前を流れる雨水の排水溝。冬になると山の落ち葉がグレーチングの隙間からいっぱい落ち込んで、たまってしまう。年末頃には溝いっぱいに落ち葉が詰まった状態になってしまって、先週、ゲンに手伝ってもらって大掃除をしたばかり。そのときついでにお隣のガレージの前の部分まで続きでお掃除しておいたのだった。 「いやぁ、わるいわぁ。うちも早く掃除しなきゃと気になってたのに、どうもすみません。」 とえらく恐縮しておられるので 「いいえ、そうじといっても子どもたちにやらせたから、大雑把なもんよ。」 と笑ってごまかす。
午後、玄関のチャイムが鳴って、お隣のIさんが 「お子さんたちに、お掃除のお礼に・・・」とスナック菓子の紙包みを持ってきてくださった。 「あらまぁ、かえってすみません。うちの子達は『労働力』だから、気を使っていただかなくてよかったのに・・・。」といいながら、遠慮なくいただくことにする。 「そういえば、おにいちゃん、今日もそこで飛行機、飛ばしてはるね。なんか木に引っかかったとかって苦心したはるけど・・・」 「はぁ、またやってますか・・・」
最近再び訪れたゲンの飛行機飛ばしブーム。 昨日もゴム動力のペーパープレーンをおとなりの庭木に引っ掛けて、父さんが脚立持参で出動したばかり 「お手数かけてすみません」と神妙な顔つきをしていたのに、また今日も懲りずに飛ばしていたのだろう。 Iさんと一緒に見に行くと、ヒマラヤスギの裸木にスチロール製の小型のプロペラ飛行機が梢の又に引っかかっていて、ゲンは頭上を見上げて思案顔。は長い竹の棒に別の木切れをロープで継ぎ足したり、近くにあったブロックの上に上ったりして悪戦苦闘していたようだけれど、あと十数センチ足りないらしい。 傍から見ているだけで、じれったく思われたか、 「ちょっと貸してみて」 とIさんがゲンからつぎはぎ棒を受け取って、木の上の飛行機を突付いて下さった。 「もうちょっと・・・ああっ、引っかかった・・・よっと!・・・ほら・・・」 頭上の飛行機を見上げながら、Iさんが思いがけないはしゃいだ声を上げる。 おかげでゲンの飛行機は、2度3度細い小枝に引っかかりながらも、無事に樹上を離れ、ハラホラとゲンの足元に舞い降りてくる。
「やったー!ありがと!」と飛行機を拾い上げて嬉しそうなゲン。 おまけに先ほどいただいたスナック菓子を見せるとますますにっこり。 ちょっと遅れていただいた落ち葉掻きのご褒美。 もしかしたら、お菓子よりも愛機救助してもらったことのほうが嬉しいご褒美だったのかもしれない。 Iさん、ありがとう。
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