月の輪通信 日々の想い
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里帰りから戻って、我が家で食べる今年最初の朝ごはん。 朝寝を楽しむお寝坊の子どもたちを放置して、相変わらずの夜なべ仕事から戻った父さんのために朝食を準備する。 炊き立ての白いご飯にお豆腐の味噌汁。お漬物。 正月明けの空っぽの冷蔵庫になぜか豊富に残った卵を気前よく使って、父さんの好きな出し巻き卵を焼く。
父さんの好みはだし汁大目の薄味の出し巻き卵。 銅の玉子焼き器を熱し薄く油を引いて卵を流しいれ、焦げ目の出ない程度にじっくりと焼いて巻き上げていく。普段何の気なしに焼いている玉子焼きも少し気合を入れて丁寧に調理すると、ふんわりと柔らかくじわりとだし汁の染み出すやさしい一品になる。 暖かいうちに厚めに切って朝食の膳に載せる。
「お、旅館の朝ごはんやな。」 思わずほころぶ父さんの笑顔。 一目みて、玉子焼きに込められた心持を感じ取ってくれたらしい。そのことをちゃんと言葉にして伝えてくれる夫をありがたいと思う。 年末からこっち「お急ぎご飯」やおせち料理など、間に合わせのお料理や誰かに調理してもらったご馳走の食事が続いて、それはそれでおいしく楽しくいただいたのだけれど、こうしてゆっくりと誰かのためにいつもどおりのお惣菜を調理する楽しみも捨てがたい。 当たり前の家事を、時には立ち止まってしっかり心を込めて味わう気持ちを大事にする一年にしたい。 そんなことを改めて心に記する、今日の朝ごはん。
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