月の輪通信 日々の想い
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工房の仕事も大詰め。干支の仕事がようやく一段楽して、雑用係の私にはぽっかりと手待ちの一日が出来た。クリスマス気分のまま、家の中でぐうたらしているアユコとゲンを動員して、工房周りの落ち葉掻きにせいを出す。 山の木々も八割がた落葉を終えた。見上げると裸になった木々の枝振りがくっきりと空に浮かんで、冬の空の青さが明るく見通せるようになった。まだまだ、名残の落葉は続くけれど、大掛かりな落ち葉掻きのピークはこれで終わりになるだろう。
先日の焼き芋大会のときに壊れてしまったと思っていたブロワーが、今日もう一度試してみたらあっさりと使えたので助かった。多分配線のどこかが接触が悪くなっていたのだろう。 木々の根元や庭石の間の落ち葉を掃除するためにはブロワーは必須アイテム。とりあえず使えるようになって助かる。ガーガーと音がうるさくて無粋だけれど、これがないと冬の落ち葉掻きはたちまち麻痺して困ってしまう。 「しょっちゅう空回りしてガーガーうるさいけど、いないと家事が立ち行かない。誰かさんみたいだねぇ。」 誰かさんって誰のことよ! え!誰のことよ!
アユコとゲンはジャンケンで落ち葉を運ぶ順番を交代したり、運動会のゲームのように落ち葉を捨てに行く速さを競い合ったりして、いつの間にか落ち葉掻きの仕事を楽しい遊びにしてしまっている。 ほんの数年前までは、褒めたりおだてたり、時には息抜きの遊びを仕掛けたりしてやっとの思いで子どもたちを作業につなぎとめていたというのに、今では子どもたちだけに任せておいてもそこそこ纏まった作業を楽しみながらやっておいてくれるようになった。 成長しているんだなぁと思う。
結婚したばかりの頃、毎日工房の仕事を手伝っていてよく思ったこと。 窯元の仕事というのは作品の制作ばかりでなく、営業や販売、荷造り荷送、教室の運営と多岐にわたる。それに加えて、お客様の接待、お茶だし、庭掃除など周辺の些末な用事も山ほどある。これらの仕事を家族だけで支えるには、人手はいくらあっても多すぎるということはない。 「作品を作る子、商売をする子、荷造りをする子、お客様の接待をする子・・・。工房の仕事を我が家の子どもたちに割り振るには、8人くらい子どもを産まなくっちゃね。」 荷造り場で義母と一緒に作品の包装をしながら、よくそんな冗談を言ったものだった。 実際には現在我が家には4人の子どもたち。 オニイは最近、父の仕事を継ぐことを将来の目標として思い描き始めているらしい。アユコは学校で茶道や華道を習い、お茶だしやお接待の助手を立派に務められるようになって来た。ゲンやアプコも何かと工房へ入り浸り、おじいちゃんおばあちゃんたちの手伝いをしたりできるようになって来た。 このまま、いつまでも子どもたちを手元にとどめておくことができるとは思っていないけれど、取り合えず今は子どもたちが工房の一員としての何らかの役割をそれぞれに自覚して果たせるまでに成長して来たということだろう。
午前中いっぱいかかって三人で運び出した落ち葉が大きな山になった。 山から降り注いだ膨大な量の落ち葉も、こうして積んでおけばそのうち雨風に打たれて、柔らかな腐葉土となって土に返る。 毎年毎年、繰り返す落ち葉掻きの作業。 その中で子どもたちの成長を確認できるということのありがたさ。
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