月の輪通信 日々の想い
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2005年12月17日(土) 15才

オニイ、誕生日。
「受験生だから、誕生祝は合格祝までとっておいて。」
「ケーキはいらないから、お母さんのババロア作ってよ」
「晩御飯は、刺身がいいな。」
ささやかで欲のないお誕生祝。
お子様向きの派手なケーキのない分、オニイ本人には静かに物想うことがたくさんあるようで、ちょっと大人気分の「15の夜」

今年、オニイは受験生。
志望校の選択だけではなく、将来の職業のことや友達や兄弟のこと、自分の果たす役割のことなど、いろいろと心揺れ動いているらしい。
昨日の個人懇談では、地元近くで美術の専門科目の学べる高校を当面の目標とすることにした。必ずしも「一番行きたい学校」ではないかもしれないけれど、彼の学力や通学時間、家族の経済状況や将来の進路を考え合わせれば妥当な線の選択といえるだろう。
「高校生になったら、いろんなことを経験して、いろんなものを見て、心豊かに過ごしなさいね。君は将来の目標もしっかり持っていて、それについて勉強したり鍛錬したりすることの出来る恵まれた環境に育っているのだから。
あまり自分を追い詰めずに、心緩やかに生きることを学びなさい。そういう豊かさが君の将来には必ず必要になるのだから・・・」
中三の個人懇談といえば、学業の成績のことや志望校の事だけで殺伐と終わるものかと思っていたら、担任の先生の心温まるエールをいただいて、「ええ先生やなぁ」と親子でウルウルと感動して帰ってきた。
良き師、良き友人にたくさん出会って、大人になっていくオニイ。
ありがたい。

今朝、何を思ったか、オニイはわざわざ工房まで出向いていって、ひいばあちゃんに15歳の誕生日の報告をしたようだ。「よう大人になった。」と涙を流さんばかりによろこんでくださったのだという。
明治の人にとっては15歳はもう立派に大人に仲間入りの年齢。オニイが生まれた日、涙涙で「よく産んでくれた。お手柄や。」と孫嫁の手を握ってくださったひいばあちゃん。窯元の後継としての男の内孫の誕生を心から待ち望んでおられたのだろう。そういうひいばあちゃんの期待を幼い頃から常に背中に感じてオニイは大きくなった。
「あなたの尊敬する人はだれですか。」
受験の面接試験対策で投げた問いに、オニイは「ひいばあちゃん。」とすかさず答えた。こつこつと地味な職人仕事をたゆまず続けるひいばあちゃんの営みを、「すごい」と感じられるオニイの堅実で誠実な成長振りを嬉しく思う。

「おかあさん、雪ふらないねぇ。」
今日は本当にいつ雪が降ってもおかしくないくらい寒かった。
オニイが生まれる日の朝もちょうど今日のように「この冬一番」の寒さだった。陣痛が始まって、新婚の頃の小さなハイツの外階段をそろそろと下りて産院へむかった。
あの日がオニイの誕生の日となり、父さんと私にとっては初めて父となり、母となった記念の日となった。
父も母も「15歳」
親としての「学を志す」年齢になった。


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