月の輪通信 日々の想い
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2005年11月25日(金) 山分け

先週、義兄のところから、アプコのおもちゃのおさがりをいただいた。
シルバニアファミリーのおもちゃのセット。動物のお人形用のドールハウスやミニチュアサイズの家具や什器類だ。
いつもお友達のKちゃんとこのシリーズのおもちゃで遊んでいるアプコは大喜び。早速大きな箱を開いて店開きを始める。

アプコはすでに、アユコからのお下がりも含めて2軒のドールハウスを持っているが、今回もらったのはそれよりもさらに部屋数の多い豪邸とパン屋さんのお店。それに、たくさんの家具とお人形が数体。あとは家具と食器や小物。パン屋さんの店先にはつめの先ほどのサイズのクロワッサンやケーキ、レジスターやトレーやトングまでそろっている。手のひらサイズの動物のお人形は着せ替え可能なカントリー調のかわいい衣装を着ていて、ご丁寧に小さなパンツまではいている。そのかわいらしいミニチュア感はこの年齢の女の子たちにとってはたまらない魅力があるらしく、「うわぁ、かわいい!見てみて!」と大騒ぎだ。
但し、このおもちゃ、結構嵩張る。
大きなドールハウスは、分解して箱に収められるようになっているが何しろ場所をとる。小さなパーツ類は、本当に数限りなくあって部屋中に散らばるし、何かの折に掃除機で吸い込みそうになったり、素足で踏んづけたりして痛い思いをする。片付け係の親にとっては少々厄介なおもちゃだったりする。

ということで、今回もらった大量なおもちゃ、仲良しのKちゃんと半分こすることを提案してみた。
「Kちゃんちにはおうちが一軒しかないんでしょ。これをどちらか一つ、分けてあげたら、アプコがKちゃんちで遊ぶとき、一軒づつ分けて使えるよ。」というと、しばらく考えていたようだったが、意外にあっさり「いいよ」と言う。前もって根回しして置いたKちゃん母も、気持ちよくお下がりをもらってくれるというので、さっそく親子で来てもらって、お宝の分配を始めることにした。
2軒のドールハウスにそれぞれの家具や調度を振り分け、細かなパーツも大まかに2等分して、「さぁ、どっちが欲しい?」と二人に聞いたら、さぁ、それからがたいへん。 
二人とも、一人で両方はもらえないのはわかっているけど、どちらも欲しい。「こっちに決めた!」と思ってみても、あっちのあの家具にも未練がある。「あっちに決めた!」と思ってみても、あっちのおうちのほうが大きくて立派に見える。「文句なし」のジャンケンをして、ようやく決まったと思っても、やっぱり相手の持っているものが欲しくなってしまうのだ。

思えば、Kちゃんもアプコも家族の中ではぐ〜んと年の離れた末っ子姫。
兄弟のなかで同じ一つのものを分け合ったとしても、ちょっと駄々をこねたら、「もう!しょうがないなぁ」とオニイ、オネエが分け前を譲ってくれたり、お目こぼしをしてくれたりして、厳密な○等分にはならないことが常である。今日のように、あくまで対等な立場で厳正な半分こをするのは、あまり経験のないことなのかもしれない。それだけに、二人とも自分の取り分の確保にピシピシと頭を使う。
「もう一回、ジャンケンをやり直そう」と言い出したり、「あれとこれをとりかえっこしたい」と言い出したり・・・。6,7歳児の「半分こ」は、大人の思う平等とは明らかにものさしが違う。
ああでもない、こうでもないと散々説得したり、なだめたり。
帰りの時間ぎりぎりまで交渉は続いて、私もKちゃん母もすっかりくたびれはててしまった。

「Kちゃんちへ行ったときには、これ貸してね。」
「二つとも一緒に使いたいときには、これ、持って行くね。」
ようやく納得の行く分配を終えて、Kちゃん親子が帰っていく。
「Kちゃん、喜んでくれてよかったね。」
とお姉さんぶって笑うアプコ。
半分になったお宝を再び箱に収めて、アプコはそれでもうれしそうだ。
大好きなものを仲良しさんと分け合う楽しさもちゃんとわかっているらしい。
やれやれ、ご苦労様。


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