月の輪通信 日々の想い
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2005年10月07日(金) 菊人形

朝から雨がふりそうな怪しげな天気。
楽しみにしていた秋の遠足に出かけるアプコもリュックの中にレインコートをしっかり準備。オニイやオネエも、帰りの雨支度に慌しかったというのに、子ども達が出て行った後で見てみると傘立てにはゲンの傘。
「雨、降るよ。ちゃんと傘、持ってね・・・」と何度もアナウンスしても、子どもが4人もいると誰か一人くらいは必ず漏れる。
かなわんなぁ。

案の定、お昼ごろには通り雨。
ダメ元で外に干していた洗濯物を慌てて取り込んで、ホッと一息。
かわいそうに、アプコたち、降られちゃったなぁ。
アプコの遠足の行き先は、枚方パーク。
菊人形を見て、遊具に二つ乗って、アスレティックで遊ぶのだという。
今頃ならちょうどお弁当を広げている頃か。雨宿りできる所があればいいけど・・・。
このまま降り続くようなら、帰りの時間を見計らって迎えに行ってやろうかなと算段していたら、予定を繰り上げて早めに解散したアプコが一人で帰ってきた。
「雨、大丈夫だった?ぬれなかった?」
と聞く私に、アプコはちょっとハイテンションで一気に喋る。

「あのね、お弁当食べてるときに雨が降ってきたから、大変だった・・・食べてる途中で移動したから、おにぎり一個落としちゃったヨ・・・デモね、よかった、あのおにぎり、ちょっと辛かったよ。アレ、何味?・・・で、おかあさん、おかあさん、今日私、枚パーで初めてのとこ、二つも行ったよ。
一つはね、アスレティックでね、もうひとつはね、・・・あ、お母さんは枚パーのアスレティック、行ったことある?・・・ふうん。でもアタシは行った事ない・・・そんでね、アレがすんごくきれいだった・・・って、あれ、なんていうんだったっけ。お花でね、着物とか人間とか、作るヤツ・・・ああ、そうそう、菊人形ね。お母さん見たことある?・・・すんごいすんごいきれいなんよ。ぜーんぶ、お花で作ってあるネン・・・でも手とか顔とかは、花と違うんやけど・・・。
あれ、どうやって作るんやろ?いっぱいいっぱいお花があったら家でも作れる?いっぱいいっぱい花がいるなぁ。・・・あの花の名前?知らん。・・・あ、そうか、菊か。だから菊人形って言うんやね。・・・お母さん、うちに菊の花ある?」

やっぱりうちでも菊人形を作る気ですか。
枚方の菊人形は、制作する「菊士」の高齢化と後継者不足などのため、今年で90年余りの歴史を閉じるという。
もう少し待ってくれれば、我が家から女菊士が生まれたかもしれないのに、本当に惜しい事だ。
その昔、枚方パークの周辺に一大自然公園作ろうとの壮大な計画があり、菊人形もそれにあわせて誘致されたものなのだそうだ。義父の昔語りに寄れば、うちの窯元が枚方市へ窯を移したのも、実はこの公園計画の一端としての意味合いもあったものらしい。
そういう意味では何となく我が家とも縁の深いものとして、親しく感じていた菊人形の閉幕。何となく寂しいものである。
我が家の一番ちび助が、最後の菊人形にいたく感激して帰ってきたのが、せめてもの慰めかとも思ったりする。


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