月の輪通信 日々の想い
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朝、たまたま早起きして来たゲンが、朝の山登りに出かける父さんにあれこれ世話を焼く。 「とうさん、雨上がりだから足元、悪いんじゃない?大丈夫?」 「途中で雨が降ったらどうする?雨ガッパもって行ったほうがいいんじゃない?」 近場の山はオレさまの縄張りとばかり、父さんに色々とアドバイス。気のいい父さんがフンフンと聞いていると、ますますこまごまとウルサイ、ウルサイ。 なんだかんだといってるうちに、結局父さんと一緒に山に登ってくる事になったらしい。二人で出かけていった後を見ると、あんなに人にうるさく言ったくせに、ゲン自身は何の雨支度もしなかった様子。 つくづく、雨には備えない男だなぁ、ゲンは・・・。
遅めの朝食に帰ってきたゲンと父さん。 さて、食卓に着こうとすると「とうさん、手、洗ったほうがいいよ。」とこれまたゲンのおせっかい。 「今日さぁ、父さん、もうちょっとで蛇を踏みそうになったんや。僕が言わなかったら絶対父さんは踏んでたと思うね。父さん、僕がついていって良かったでしょう?」 父さんがフンフンと調子を合わせてくれるのをいいことに、コイツちょっと調子に乗っている。おまけに、こまごまと口うるさいその偉そうな口調が誰かさんにそっくりだぁ(私?)
「なぁ、ゲン。このごろあんたは何かと父さんの世話を焼いてるつもりだろうけど、父さんもう立派な大人なんだから、いちいち偉そうに指摘しなくてよろしい。 父さんは君に調子を合わせてくれているだけで、なんだって君より100倍も上手に出来る人なんだから。」 と私がゲンに言うと、「ホントかなぁ・・・」と疑わしげな表情でへらへら笑っている。 「あったりまえじゃないの。父さんは君の4倍以上も生きてるんだよ。君がおぎゃーおぎゃーと泣く事しかできないときに、父さんは君のオムツを取り替えてくれたんだから・・・。」 と、ここは父さんの年の功を重ねてアピール。長幼の序を重んずるオニイも加わって、ゲンにコンコンとお説教。
二人のお説教に、自らの父を軽んずる無礼を悟って、シュンとなるゲン。 ・・・・というところで、キッチンのほうで、 「あちゃー、コーヒー、こぼした!」と父さんの声。 ああ、もう!父さんったら! 父の威厳というものを壊さないで下さい。
・・・・って、そこが父さんの素敵なところ。
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