月の輪通信 日々の想い
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2005年06月07日(火) 笑っちゃうキュウリ

冷蔵庫の野菜室が空っぽになったので、買出しに出かける。
いつも大盛り格安の八百屋さんでキャベツや玉ねぎなど重くてカサのはる野菜をドンドンレジ籠に入れて、グルッと一回りしてから目に付いたのが籠いっぱいのキュウリ。
ざっと見ただけでも20本以上。それがたったの190円。
「なんだか笑っちゃいますね。」と傍らで品定めをしているご夫人と笑う。
「キュウリばっかりこんなにあっても困るけど・・・」といいながらもう彼女は買う気満々。ご主人に目配せしてもう一つレジ籠を調達している。
なんだか変なところで負けん気出しちゃって、私も一盛お買い上げ。
まだ、買い物を始めたばかりだというのに、両手にいっぱい野菜の入ったレジ袋を抱え込む羽目になって、うんこら言いながらいったん駐車場まで荷物を置きに戻った。

「見てみて、笑っちゃうでしょ。このキュウリ。」
レジ袋にずっしり重い大盛りキュウリは数えてみれば25本。
一本、十円しないのね。
一本のキュウリの株から、一日に一体何本のキュウリが収穫出来るのだろう。つやつや輝くまっすぐな上物のキュウリを10円足らずで買われたんでは、農家の人たちは「笑っちゃうね」では済まないだろう。
得した気持ちと、なんだか誰かに悪いなぁと言う気持ちで買ってきたキュウリを机の上に並べてみる。

とりあえず、だし醤油で我が家定番の簡単浅漬けをと、父さんの好きなミョウガを一パック。
こちらはまだまだ出始めの少々お高い値札がついていた。
キュウリを買い叩いたお詫びにと、高値を承知で買って来た。
トントンと荒く切ったキュウリにミョウガの細切りを添えてジャブジャブとだし醤油をかけて冷蔵庫で一晩。
我が家の夏の味が食卓に戻ってきた。
おばあちゃんちへのおすそ分けのあとに残ったきゅうりは15本。
セロリと一緒に甘酢でつけたり、酢の物にしたり、毎食毎食、食卓に上ることになりそうだ。。

高校生の頃、家庭科の授業でキュウリの輪切りのテストがあったなぁなんて昔のことを思い出した。
いかにも「家庭科の教師!」っていうタイプの老先生がストップウォッチを持って女生徒たちの輪切りの実技を厳しく採点する。お手手つないだ連結キュウリや半円型の欠陥キュウリは減点対象。一枚1ミリ以下と基準が決まっていて、結構大変なテストだった。
テスト前に何度か自宅の台所で輪切りキュウリの特訓をしたのも懐かしい。
あれはちょうど高校一年の今頃の季節だったか。
あのときに今のような大盛り格安キュウリがあったら、きっと私の包丁さばきもぐんと上達したに違いない。
ちょうどいい、キュウリがたっぷりある間に、アユコに「キュウリ輪切り」の自主練習でもさせてやろう。几帳面なアユコはきっと完璧な満月キュウリを刻む事が出来るようになるだろう。

・・・・と、相変わらず自分は「お手ェ手ェ〜、つ〜ないで〜♪」と鼻歌を歌いながら、減点キュウリを刻む。
きっとあのオールドミスの先生がごらんになったら「ンまあ!」と呆れて目を丸くなさるだろう。そうそう、尖った眼鏡の奥の小さな目をまん丸にして、唇をとんがらせて連発なさる「ンまぁ!」というあの口癖。影でみんなでモノマネしたっけ。
懐かしい。
なんだか笑っちゃう。


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