月の輪通信 日々の想い
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2005年05月17日(火) |
「いいこと、あってん」 |
子どもらを学校へ送り出してから、久しぶりに父さんとドライブに出かけた。今月末のお茶会に出すための作品の取材が目的。一直線に法隆寺へ向かい、修学旅行生の波に何度も呑まれそうになりながら、エンタシスの柱に触れ、塔の写真を撮り、夢殿の秘仏公開の列に並ぶ、超特急の斑鳩の旅。 大きなカメラバックを抱えて撮影ポイントをあれこれ探す父さんを横目に、どっしりと地にそびえる飛鳥の人の信仰の偉功の証を晴れ晴れと見上げる。 程よい気分転換の旅だった。
夕方、バタバタと帰宅したゲンがツンツンと私の肩を突く。 「あのな、あのな、今日、すンごくいいこと、あってん。」 なんだかニヤニヤ嬉しそうだ。 「何があったん?」と何度訊いても、「教えてあ〜げない」と下あごを突き出して嬉しそうに笑っている。 散々訊いても教えてくれないので、「もういいよ、別に分からなくても」と突き放すと、今度は自分からそばへ寄ってきて、「あ〜、すンごくいいことなんだけどな。」といいながらうろちょろしてる。要するにもっとしつこく聞きただして欲しいのだ。 「知りたかったら、T先生に訊いてみてよ。」 とヒントもどきのことを小出しにして、ニヤニヤと付きまとってくる。 馬鹿だなぁ。 なんだかとっても楽しい事が合ったのだろう。 楽しくてたまらない、自然と顔がにやけてくる。 こういうくすぐったい嬉しさをコロコロと手の中で転がして楽しんでいる、ゲンの笑い顔がそれだけで母にとっては「とってもいいこと」
この間、子どもらの遊び場となっている神社の清掃の呼び出しがあって、ちょうどその場でお喋りしていたU君母が同じような話を教えてくれた。 塾帰りの迎えを呼ぶ電話で、Uくんが「今日、とってもいいことがあったよ」と嬉しそうに報告してくれたという。うれしくて嬉しくて仕方がないくせに、帰りの車中で問いただしても「とってもいいこと!教えてあ〜げない!」と楽しそうに口をつぐむ。 塾のテストでとってもいい点でもとったのかしらん。 U君母もいろいろ「いいこと」の内容を推理しては見たけれど、結局「いいこと、教えてあ〜げない」のやり取りを嬉しそうに続けるU君の様子に、肝心の「いいこと」の正体が分からないまま、なんだか楽しい気分になってしまったという。 ホントにホントにそうだなぁ。 「いいことあったよ!」といの一番に報告しにきてくれる子どもの笑顔って、なんだかいい。とっても嬉しい。それだけでいい。
・・・・・追記・・・・・ 18日。クラスの仕事で下校時間が遅くなったからとT先生がわざわざゲンを車で家まで送ってきてくださった。 そのT先生に「昨日なんだかとってもいいことがあったらしいんだけど、ちっともおしえてくれないんですぅ。」とお話したら、T先生にも心当たりは無いという。 先生と二人でゲンに「教えて、教えて」と訊いてみて、どうやら、昨日のゲンのいいことの正体が判明した。 前日の放課後、T先生はゲン達数人の子ども達と一緒に教室の蛍光灯の交換をしていたのだという。その時いたずら心を起こしたゲンが、失礼にも蛍光灯でT先生のふくよかな部分を突っついて、とても楽しかったのだそうだ。 大好きなT先生にちょっといたずらして一緒に笑う。 その楽しい気分をそのまま大事に家まで持ち帰って、母にもおすそ分けしてくれたのだろう。 その内容を母に説明してしまったら、もしかしたら「あ、そう」で済まされてしまいそうな嬉しい気持ちを大事に大事に小出しにして伝えてくれたんだな。 わが息子ながら、ゲンってホントに面白いヤツだ。
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