月の輪通信 日々の想い
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2005年05月12日(木) 「15本」再び

明日は、先週の雨で延期になった小学校の遠足。
今、外ではザーザー雨が降っているけれど、天気予報によれば明日は晴れるらしいので、ゲンもアプコもすっかりその気になって遠足の用意を再点検している。
遠足といっても、行き先は小学校近隣の山のハイキングコース。春の遠足の定番コースで、アプコに至っては一旦学校に集合してから、再び自宅の前を通過して山へ入る。帰りは多分アプコだけ、途中下車でウチへ帰らせてもらうことになるのだろう。

雨のため一週間お預けとなっていた遠足のおやつ。
そんなにひねくり回していたら、減っちゃうよというくらい何度も出したり入れたり、充分に楽しませてもらった。
高学年も低学年もおやつは一律150円。わざわざ、遠くの駄菓子屋まで遠征して選び抜いた駄菓子の数々。
ちまちまとゼリーやらガムやら小さなお菓子を念入りに選ぶアプコに対して
ゲンは去年に続いて、制限額の全てをはたいて「うまい棒」15本という破天荒なチョイスに得意満面。「皆がどんな反応するか、それが楽しみなんだ。」と今からワクワクドキドキしている。
「きっと喉が渇くから、やめなよ。」という外野の声にも関わらず、去年は、自分の買って来た「うまい棒」を友だちのほかのお菓子とトレードしたり、違う味のをミックスして食べたり、結構楽しんで帰ってきたらしい。
「今年も絶対、うまい棒15本!」
ゲンの決意は堅かったようである。

「あのな、T先生にな、うまい棒のクイズ、出してん。」
とゲンが嬉しいそうに教えてくれた。
「T先生がな、うまい棒15種類全部いえたら、僕のうまい棒一本上げることになってんねん。だいぶ、ヒント言うたからな、あと二つになってんけど、先生、分かるかな?」
とまた自分の15本を広げて、数えて見せる。
さすが、T先生、子どもに調子、合わせるのが上手だなぁ。
数日後には、班ノートで「15本、ムキになって調べて書けたんだけど、今度は15秒間で言えといわれてショゲてます。」と先生のコメントがかえってきて、大笑い。
なんだかゲンもT先生もたのしそうだなぁ。
こんな風に、子どもの「くだらないけど譲れない」こだわりに、笑って付き合ってくださるT先生のおおらかさがなんとも嬉しい。

先日、バーベキュー大会に初参加してくれたUくんのこと。
Uくんはロッジにいる間中、いつもよりずっとハイテンションで大人たちやオニイやアユコとお喋りをしていて、「ここへ来てよかったよ、楽しいよ」と何度も何度も言ってくれた。
家族の事や塾のこと、学校の友だちのことなんかも初対面の大人にいろいろ話してくれて、その幼い口調にも関わらず、ずいぶんいろんな複雑なことを考えているのだなぁと感心させられた。
と同時に、この子は、家族以外の大人たちに激しくアピールして、受け入れてもらいたいものをたくさん持っている子だなぁという感じを持った。
U君母の弁によると、低学年の頃からU君は周囲の大人から「ちょっと変わった子」という感じの受け止められ方をしていて、自分の話をちゃんと聞いてくれる大人に恵まれていないという。
だから、Uくんの話を面白がって聞いているバーベキュー仲間の中が居心地がよかったのだろう。
子どもたちは自分が面白いと思っていること、イヤだなと思っていること等を周りの大人に理解されたがっている。誰かに共感してもらう事で、相手を信頼できる人、一緒にいて楽しい人と認知していくのだと思う。
そういう意味では、ゲンの「うまい棒15本」という馬鹿馬鹿しいこだわりに、面白がって加わっていただけるT先生の存在は、ゲンにとってはとてもとてもありがたいことなのだなぁと改めて思う。
近頃、ゲンの表情がとっても明るく、なんだか何もかもが楽しくてたまらないという感じなのは、きっと自分を理解してくれる楽しい大人や友だちに恵まれていると感じているからだろう。

ところでゲンの言う「うまい棒」15種類。
調べてみたら、現在は下記の通り。

とんかつソース味・サラミ味・チーズ味・テリヤキバーガー味・コーンポタージュ味・やさいサラダ味・めんたい味・キャラメル味・たこ焼き味・ココア味・チキンカレー味・かばやき味・エビマヨネーズ味・チョコレート味・なっとう味

「うまい棒」の安っぽい味は嫌いだけれど、こういう馬鹿馬鹿しい商品展開へのこだわり方はなんとなく好き。どんな人が新しい味の開発をしているんだろうといつも思う。もしかしたら、子どもの好みを子どもの目線で観察できる、遊び心溢れるおバカな大人なのかもしれない。


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