月の輪通信 日々の想い
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2005年04月30日(土) 些細なイライラ

ひいばあちゃん、入院10日目。出張中だった義兄が帰ってきて、ひいばあちゃん「帰りたい」モード復活。主治医と外泊の相談をする。ベッドが窓際の明るい場所に移動し、ひいばあちゃんは「いい風が入る」とご機嫌。

朝一番に、急に役所関係のお客様を引き受けて欲しいという連絡が入って、急遽工房の玄関やお茶室の掃除に大忙し。アユコが手際よく手伝ってくれて、助かった。
季節柄、工房の前の通りは朝からハイキングの家族連れや遠足等の団体がひっきりなしに通り過ぎていく。
忙しく玄関を掃いていたら、
「すんません、生物部で、これから山へ登るんやけど・・・」とハイキング姿の中年の男性が話しかけてきた。
「自転車乗ってきたらアカンというてあったのに、乗ってきた生徒がおって・・・。ちょっと自転車置かせてもらえへんやろか?」
知らない顔だとは思ったけれど、へんに親しげな砕けた口調だったし、学校名も名乗らずにいきなり「生物部で・・・」というので、子ども達の学校の先生かも知れないと思いこんでしまった。
横から義父が「今日はこれからお客さんがみえるので・・・」と断り口調で答えているのに「2台だけなんで、その辺の隅にでも・・・」と庭の一角を指差して食い下がってこられる。
「では邪魔にならない所に・・・」という事になって、教師が先に行っていた自転車の女の子たちを呼び戻して自転車を止めさせる。
「それじゃあ、すみません。2時間ばかりで帰ってきますから」
と、その教師はピョコリと頭を下げていった。
なんだかなぁと思う。
後で自転車を見ると、泥除けに私の知らない高校の校章のシールが張ってある。どうも全く顔見知りでもなんでもなく、ただの通りすがりの一団だったらしい。

普通初対面の人に物を頼むときには、せめて「生物部で・・・」ではなく「○○高校の生物部の者ですが・・・」と、校名まで名乗るのが礼儀だろう。
ルール違反の生徒がいて対処に困った事情は分かるけれど、見ず知らずの他人に物を頼むのに、いきなり同僚にでも話しかけるような砕けた口調も非常識だ。
こちらが断り口調になっているのに「そのへんに2台くらい置けるだろう。」とばかり、自分から庭の一角を指差すのも感じが悪い。
自転車を置きにきた二人の女生徒たちもこちらに会釈一つをするでもなく、教師もそんな二人の態度を叱りもしない。
ダメダメな教師の下では、ダメダメな生徒が育つのだなぁと朝から気分が悪かった。

教師という人種の中には一般社会の常識をちゃんと身につけていない人が多いと言われる。
私が子ども達を通して出会った先生方のなかには、幸いにしてそんな非常識な教師はそれほど多くはない。たいがいは子ども達への深い愛情と強い責任感をもった立派な先生方ばかりではある。
それでもなお、今日のような感じの悪い教師に出会うと「やっぱりな、教師ってヤツは・・・」と思ってしまう感覚が、私の中には確かにある。
休日にも関わらず、朝早くからクラブ員を率いて野外観察に出かけてくる。おそらくは日々の職務に真面目に取り組んでおられる先生なのだろう。
「自転車置かせてもらえんかなぁ。」という親しげな口調は、生徒達や保護者達に対して使われるなら、気さくで話しやすい先生と評価されているのかもしれない。
学校の中でなら、多分そこそこ有能で生徒達にも人気があるかもしれないその先生が、何故子ども達を率いて学校の外に出るとああいう「なんだかなぁ」という態度が見えてしまうのだろう。
「青少年の育成のためには、周囲の人も一般社会も協力、支援してくれて当然」というような教師特有の驕りの匂いも感じられてイヤになってしまった。

自転車のシールで分かった学校名は来春、オニイも受験可能な学区内のかなり評判のいい公立高校。
たった数時間、数台の自転車の置き場を提供したというだけのささやかな出会い。格別口角泡を飛ばして怒るほどの腹立たしい事柄でもない。
けれどもなんだか気分が悪い。
こういうささやかな苛立ちというのは、結構尾をひくものである。

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