月の輪通信 日々の想い
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夕方、一番最後に帰宅したオニイが私を呼ぶ。 「かあさん!かあさん!」 息せき切っているので何事かと思ったら、 「そのうちにでいいから、カレー、食べようや。 帰り道、自転車で走ってたら、どこかでカレーのめっちゃくちゃ、いい匂いがしてん。あー、カレーが食いたいな。」 とのこと。
体調もいいのだな。 気力も充実しているのだな。 日に日に男臭くなっていく中学生のオニイが、小学生のようなくしゃくしゃの笑顔でカレーをねだる。 時々「どうしたの?」と訝るほどに、突然食欲魔人と化す少年の旺盛な生命力のまぶしさにになんとなく頬が緩む。
「いいね、そのうちね。」 次の休みには、大きなお鍋でたっぷりのカレーを炊こう。 ところでオニイは、いつから母のことを「おかあさん」ではなくて「かあさん」と呼ぶようになったのだろう。
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