月の輪通信 日々の想い
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2005年01月28日(金) 窯だし

小学校、5年生の陶芸教室、窯だしの日。
二クラス、60人あまりの子ども達とともに手びねりのお抹茶茶碗を制作する。
昨年末、2日がかりで「てびねり」と「仕上げ」
約一ヶ月の「乾燥」の工程を経て、先週金曜に素焼き、月曜に釉薬掛け、水曜日に本焼きを済ませた。
素焼き本焼きの工程では、有志のお母さんたちに窯の番を交代で手伝っていただき、ようやく無事窯出しの運びとなった。

水曜日の本焼きにかかった時間は、約10時間。
本焼きのためには、少しづつ時間をかけて窯の温度を1230度まで上げる。日が暮れて、真っ暗になった窯場で窯の火を落として丸二晩、窯の蓋を開けずに今度はじわじわと窯の温度が下がるのを待つ。
今朝の窯出しでは、二晩の外気の冷たさにもかかわらず、窯の中の温度はまだ95度。
子ども達に一点ずつ自分で窯出しさせる予定が、高温で危険なため、軍手をつけた大人がまとめて窯出しすることに変更。
素手ではもてないほどの余熱を含んだ作品が、外気に触れてピンピンと微かな貫入の音を響かせる。
焼き上げた陶器の産声ともいえる貫入の音を聴き、窯の熱の名残のぬくもりを感じることの出来た子ども達は、長い時間かけて焼きあがった作品の誕生の瞬間をいくらかでも実感してくれたものと思う。
 
アユコやオニイが小学校に入学した頃に始まった「総合学習」の授業の見直しが始まっている。
子ども達の自主的な活動や実体験に基づく教科を越えた新しい学習形態として導入された「総合学習」だが、週休二日制の導入などともあいまって、いわゆる「読み書きそろばん」に当たる基礎学力の低下がみられるのだという。
そもそも総合学習という教科が導入された当初の、現場の先生方の手探りの奮闘振りを見ているだけに、「やっぱり駄目だったかもね。」と手のひらを返したように教科学習重視の声が上るのもなんとも情けない気もする。
「米作り」だの「リサイクル活動」だの「もの作り」だの、教科書だけでは学ぶ事の出来ない実地の体験をたくさんさせてもらい、実感を伴う知識や感動を味あわせていただいた子ども達は、この何年かで何を学んだのだろう
書き取りテストや計算ドリルでははかれない、確かな知恵と力をどこかで身につけてくれていればいいなぁと願う。


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