月の輪通信 日々の想い
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2005年01月06日(木) 初出

工房の初出。
既に数日前から、皆に先立って父さんは年明け早々の展覧会の準備や、数物の注文品の制作のために通常の仕事の態勢に入っている。
主婦も腕まくりをして、年末や帰省で久しく滞っていた家事に取り掛かる。
うだうだゴロゴロのお正月もおしまいだ。

お寝坊の子ども達をたたき起こし、ハッパをかける。
「いつまでもコタツでごろごろしない! ゲームもおしまい! さっさと片付ける!」
「朝のうちに、習字、行って来ていいかな。」
空気を察したオニイが、いち早く避難を決め込んだ。
「あ、アタシ、習字の宿題できてない・・・」
タイミング悪く逃亡のタイミングを逃したアユコが、母のお説教のいけにえとなる。
こそこそと二階に上がり息を潜めるゲン。
起き抜けにいきなり通常モードに入った母に子どもらがあたふたと活動開始。
相変わらずアプコだけが、マイペースでパジャマのままうろちょろしていたりする。これもいつもの正月明け風景。

子どもの頃、お正月とかお盆休みとか長い休みが終わりに近づくと、いつも父のご機嫌が悪くなった。
いつまでも休み気分が抜けなくて、ダラダラと気を抜いた受け答えをしたり、生活態度がだらしなかったりすると、厳しく見咎めた父の雷が落ちる。
ひとたびつかまると、こんこんと長いお説教が続く。
毎度毎度のことながら、家の中にどよんと重苦しいい空気が漂って、息が詰まるような思いをしたものだった。
「あれは、お父さんが自分の休み気分を取り払って、お仕事の態勢に切り替えるための儀式みたいなものなのよ。」
父が出勤していった後、母はいつも笑って教えてくれた。
「たまらんなぁ。」
長い休みのたびに通過する父の低気圧が子ども心にも毎回憂鬱で、いろいろ逃げ場を探していたのを思い出す。

といいながら、母となり、子ども達のお休み気分をちゃっちゃと切り上げて通常モードに戻そうとイライラカリカリしている私がいる。
「なんだか誰かに似ているぞ。」
癇を立ててバタバタ掃除機をかけながら、わが身を振り返る。
溜まった洗濯物や散らかった部屋。
正月気分の名残の残る家の中の空気を、すっきり入れ替えて気分を一新したいのは私自身かも知れない。

久しぶりになじみのスーパーへ買い物に出る。
買ってきたのは、卵、牛乳など定番の食品。
夕食も焼き魚や味噌汁などの「茶色いご飯」にした。
年末からイベント続きだった食卓に、おだやかな通常モードのおばんざいをならべる。とんとんと冷たい大根を刻みながら、静かな当たり前の日常が戻ってくるのを感じる。
明朝は七草。
本当にお正月明けだ。


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