月の輪通信 日々の想い
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2004年12月27日(月) 書き初め

朝からアユコと習字の出かける。
いつもくっついていくアプコに加え、冬休みの宿題の書初めを抱えたゲンが合流。いつもはお稽古に通っていないゲンも年に一度、書初めの宿題のときだけ先生のTさんがご好意で一日講習で面倒を見て下さるのだ。
学校の授業の数時間の書写の時間でしか書道の基本を学んだ事のないゲンに、いきなり短時間で筆の持ち方から美しい右はらいの書き方まで指導してくださるのは大変な事だ。
お休みで他の生徒さん達が来ていなかったお蔭で、Tさんとゲンのほぼマンツーマンでの熱烈指導。
お蔭さまで早々に、立派な宿題が仕上がってゲンも大満足。
Tさん、ありがとう。

同じ書道の勉強でも、中学に入ってから突然「習いたい!」と自分から稽古に通い始めたオニイとゲンでは取り組み方がずいぶん違う。
筆の運びや文字の変化を教えてもらった理屈を噛み砕いてちゃんと理解してから自分の筆の動きに置き換えるオニイと、見たまんまのお手本の字を絵を書くように素直にまねようとするゲン。
その違いをほんの数分で読み取って、上手に指導してくれるTさん。
さすがにしっかり勉強して来た人というのは、それを学ぼうとする初心者の気質や指導の方針をちゃんと理解したうえで、それぞれにあった教え方を見つけ出す事が出来るものだなぁと感心する。
傍らで見ていた母も、一つまた、よい勉強をさせていただきました。

ゲンの書初めの課題は「美しい心」
言葉の内容はともかく、画数も多く難しい右払いも含む「美」に、なんともバランスのとりにくい「心」という文字。
大の大人の私がお稽古のとき、いつも「あ、やだな」と思うその漢字を、ゲンは見慣れた漫画のキャラクターをさらりとまねて描くように、特に苦にするでもなくそこそこバランスの取れた文字に書いた。
一画一画の長さやつながり具合を図柄を写すような感覚でそのまま筆先に移す事が得意なのだろう。
そのくせいつも書きなれているはずの自分の名前の小筆の文字が、かな釘流で見劣りするのが情けない。
書きなじんで自分の文字が出来上がる前に、上手なお手本を見せて自分の名前を書かせる練習を怠った母の怠慢の故か・・・。
うう、面目ない。

一年生の時からこつこつと稽古に通ってきたアユコは、特待生まであと一歩。ひらめきや独創ではなく、地道な努力の積み重ねで上達してきたアユコの筆文字は流麗で生真面目だ。
来春の中学入学を機に、一緒に学んできた同級生の女の子達はほとんどが習字をやめてしまうという。
行書体やかな文字など、これからどんどん新しいことが学べる年齢に達したというのに、せっかく続けてきた書道から離れて入ってしまうのは惜しいとTさんは嘆く。
「あたしはやめないよ。」と宣言するアユコに、Tさんは少しづつかな文字の基本を教えはじめた。
生真面目だが曲のないアユコの文字に、流れるようなかな文字のしなやかさが加われば、遊びの余裕を含んだおおらかな作品に変わっていくだろう。
我が家の女の子達の名前をひらがな3文字の名前にしたのは、さらさらと筆文字にしたときに字面の美しい名前にしたかったから。
今はまだ、丸文字の名残の残るアユコの筆文字の署名も、今に艶っぽい、魅力溢れる文字になるだろうか。


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