月の輪通信 日々の想い
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2004年11月12日(金) 雨靴

昨夜から、雨。

雨降りだから早めに子ども達をださなくっちゃと気合を入れて起こす。
階下から2階の子ども部屋に向けて、オニイから順に大きな声で子どもらの名を呼ぶ。
不機嫌そうなくぐもったオニイの返事。
寝ぼけてテンションの低いアユコの返事。
一番寝起きがよくて、朝から元気なゲンの返事。
そしてアプコはたいてい返事をしない。
何度も何度もアプコの名前を呼んで、そのうち見かねたオニイだかアユコだかがしぶしぶ代返する。
「アプコー!今日は雨降りだよー!はやく起きろー!」
「雨降り」という呪文は効果テキメン。
ふにゃーとふやけた返事をして、起き出したアプコの小さな足音がする。
「雨降ってるー?」
アプコはこの間から雨降りの朝を待ちかねていたのだ。

先月、アプコに新しい長靴を買った。
ピンクと薄紫の可愛いパステルカラーの長靴。
小さい子の通園通学には長靴は必需品だが、成長に従いどんどんサイズが変わる。ないと困るが、ごくごくたまにしか使わないので、誰かのお下がりを頂いて事を足らせる事が多い。だからうちには、よちよち歩きの14.0サイズから、「長靴なんてカッコ悪〜い」と言い出す21.0あたりまでのサイズはほとんどどなたかのお古で各サイズ取り揃えておいてある。
ところがどうしたことか、今のアプコのジャストサイズ、女の子用の18.0の長靴だけが見当たらない。多分、小柄なアユコはちょうどこのくらいのサイズの時、既に長靴をはかないお年頃になっていたのだろう。
ということで、アプコにとってははじめての新しい長靴購入となったのだ。

アプコはまだまだ長靴が大好き。
新しい長靴が履きたくて何日も逆さテルテル坊主を拵えて、新しい長靴を眺めて過ごしていたのだ。
いつもならズルをして、車でビューンと送っていく登園の道を、今日はレインコートと傘の2重装備でテクテク歩く。
「おかあさ〜ん、水溜りに入っても平気だよ〜ん!」とわざわざ大きな水溜りを選んで歩くアプコ。
「あ〜ん、水溜りを歩くのはいいけどバシャバシャやって、しぶきを上げないでよ!」
隣を歩く母さんはたまらない。
ピンクの長靴、ピンクのレインコート。
「ああ、傘もピンクにすればよかったよ。」
とオネェのお古の赤い傘を廻す。
たった雨靴一足で、うっとおしい雨の朝を、こんなに晴れ晴れと楽しげに過ごせるアプコは可愛い。

カポカポと鳴る長靴の音が嬉しくて、ことさらに跳んだり跳ねたりする幼いこの子も、来春には重いランドセルを背負って、生真面目に唇を結んで登校するようになるだろうか。
その時になっても、今の楽しい気持ちをそのまんまこのピンクの長靴が思い出させてくれるといいなぁ。
母も楽しい雨の朝を一緒に過ごす事が出来て嬉しかった。
ピンクの長靴、ホントにお買い得だ。


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