月の輪通信 日々の想い
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剣道の帰り道。 ガソリンのメーターがEを指している。 ちょっとピンチだよ〜といったら、ゲンがえらく気にして、 「走ってる途中にガス欠になったら、どうなるの?急に止まるの?それともじわじわ動かなくなるの?」 とうるさい。 「おかあさん、ガス欠になった事ある?その時、どうしたの?」 と、あれこれ、質問攻め。 昔、父さんが家の近所でうっかりガソリンを切らして立ち往生した事があるので、そのときのことを話して聞かせる。 「あわてて、うちに走って帰って、別の車でガソリンを買いに行ったのよ」 「へぇ、ガソリンって、ガソリンスタンドじゃなくても自分で入れられるの?」 「ま、危険だから、ほんとはよくないんだけど、緊急事態だからしょうがないね。」 ふぅんと納得したものの、ゲンの疑問はまだまだ尽きない。
「ねぇねぇ、よくドラマとかでガス欠の車を人が押して歩いて行くのがあるやろ。あれって、ほんとに普通の人の力で動くの?」 「動くと思うよ。」 「ケイン・コスギじゃなくても?」 「うん、うちのトッポだったら、ゲンの力でも動くんじゃない?」 「え、うそ!ほんまに?」 「・・・と思うよ。この間バッテリが上がったとき、ガレージから出すのに手で押したし・・・。」 「じゃ、僕にもできる?」
あんまりゲンが食い下がるので、帰宅して車庫の手前でいったんエンジンを切った。 ギアをニュートラルにしてハンドブレーキをはずす。 「ほれ、力持ち。押してみ」 ゲン、嬉しそうな顔でほいほい車を降り、トッポのお尻をうんこらしょっと押す。 路肩の斜面の傾きも手伝って、軽自動車はゲンの力でもじわじわとかるく動く。 「うわぁ、すげぇ・・・。」 ほんの50センチほど車体が動いただけなのに、ゲンの笑顔の嬉しそうなこと。
別にたいしたことないんだけどね。 日頃重たくてとても動かせそうにもないと思っていた自動車が、ホントは小学生の力でもなんとなく動いちゃう物体であったと言う事が、今日のゲンの大発見。 「そっか、タイヤがついているもんなぁ。」 しげしげと車のタイヤを眺めてしきりに関心するゲン。 テレビ番組で大型トラックを動かしちゃったりする力自慢のヒーローに自分を重ねてしばしうっとり。
別にたいした事じゃないんだけどね。 こういうことでうっとりしてしまうゲンの無邪気が、 たまらなく可愛い。
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