月の輪通信 日々の想い
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2004年09月16日(木) 群れで育つ

小学校参観日。
本来は先週行われるはずだったのが、台風で延期になって今日になった。
アユコの学年は3クラス一緒に体育館で合奏と合唱の発表会をするという。
参観の前半、ちらりとゲンの理科の授業を見てから、体育館へ滑り込む。

今年はアユコのクラス担任の先生が、3クラスの音楽を受け持ってくださっている。
テンポのよい元気なピアノとわぁっと子ども達の心をつかむ大きなお声の先生の音楽の時間は、ほんの数回参観で拝見しただけの保護者の中でも好評で、今日の発表会も楽しみにしてこられた人も多いと聞く。
合奏の曲目は、皆がよく知っているアニメのテーマミュージック。
アユコのクラスはルパン3世のテーマだった。
前回の参観では、子ども達が初めて譜面をもらって練習に入ったばかりのところを見せてもらっていたので、「この難しい曲を良くぞここまで」と感慨無量。
指揮をする先生も、それに忠実についてくる子ども達もいかにも楽しげで一生懸命。6年生らしい立派な演奏振りだった。

今のアユコのクラスは5年生からの持ち上がりクラス。
クラスの子どもの顔ぶれも比較的よくわかる。
低学年の頃やんちゃぶりに先生が手を焼いておられた子も、3月のメール事件で暗い目をしていた子どもたちも「ああ、この子がこんなに大きくなってる」と目をみはる成長振り。
入学式の頃、きょろきょろとよそ見をしながら記念撮影した同じこの体育館のひな壇で、立派に音楽を奏でる6年生の楽しげな顔。
なんだか卒業式の予行演習をさせていただいたようで、ついつい涙腺が緩んでしまったりする。
不覚・・・。

参観後の懇談の後で、先生が雑談の合間に面白い事を言われた。
子ども達に合奏の指導をするとき、普通はまず各パートごととか、生徒一人一人とかの単位で練習させてから、全体であわせてみるという方法をとるのだそうだ。
でも、先生はそういう方法をとらない。
とにかくみんなでわっと演奏してみるのだそうだ。
「このパートのここが駄目」とか、「○○さんのここが違う」と言うようなピックアップをしない。
できないところはできないでもいい。
苦手な子は苦手な子なりに楽しんで参加できればいい。
それでもみんなと一緒に演奏しているといい気持ちになってくる。
楽しい気持ちで演奏していると、だんだん個人のスキルも上がってくるのだという。
「だって、何遍も自分のパートだけ練習しててもつまらなくなってしまいますもんね」と、笑う先生。
ああ、子ども達が生き生きと合奏に取り組む姿勢の背後には、こういう暖かい先生の導きがあったのだなと思い至った。

そして、なぜか思い浮かんだ言葉。
「群れで育つ」ということ。
一人一人の子どもをピックアップして「ここが違う」「ここを頑張りなさい」と煩くかかわるのではなく、「群れ」ごとわぁっと引っ張り揚げていく。
一人ではなかなかレベルアップするのが難しい課題も、頑張って皆にくっついて行くうちになんとなくクリアできていたりする。
そういう育て方って、いいなぁと思う。
ことに我が家のように年齢の離れた4人兄弟。
一人一人の抱える発達課題や、その年齢のうちにしっかり教え込んでおきたい事はそれぞれに違う。
その一つ一つを数え上げて一人一人に教え諭す事も時には必要だけれど、ちょっと難しいめの譜面を与えて「さあ、やってみよう」ととりあえず演奏してみる子育ても、兄弟の多い我が家にとってはおもしろいなぁと思う。
能力や性格、発達段階の違う子ども達の「群れ」を、塊ごと持ち上げてそのひしめき合いの中で一人一人がそれぞれに成長していく。
そういう子育ての方法を家庭の中に応用する事が出来そうなのも、子沢山の効用の一つかもしれない。

そういえば、アユコの担任の先生も、ご家庭では「子沢山系の母」の大先輩と言う。
「群れ」を育てる大先輩から頂いた子育てのヒント。
勉強させていただきました。


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