月の輪通信 日々の想い
目次|過去|未来
いきなり不穏当な題名で申し訳ない。
朝、ゲンとオニイの会話で某男性用カツラの商品名が話題に出た。 「ま、僕も将来はお世話になるかも知れんなぁ。」 とオニイが冗談めかしくいった。 小耳に挟んだ私。 「でもなぁ、それって、将来君の頭髪が薄くなるかどうかということのほかに、君の髪が薄くなった時それを利用するかどうかという、もう一つの選択肢を含んでいるよなぁ。」 「あ、そうか。」 「はげても美しい人もいるし、ふさふさでも醜い人もいる。 『堂々とはげる』という選択肢も、あるよなぁ。」 オニイとゲン、私の「堂々とはげる」という一言に激しく反応。 「なんか、『堂々とはげる』ってかっこいいフレーズだよなぁ。」 「うんうん、なんかのコマーシャルに使えそう。『堂々とはげる』か・・・。悪くないなぁ。」
別に面白がってもらうために言った言葉でもないんだけれど、余程新鮮に響いたか、何度も何度も繰り返して声に出して笑う子供達。 頭髪の量、身長や体型、顔の美醜、傷や障害。 誰もがいつでも抱える可能性のある外見上のコンプレックス。 それを克服する手段として、「隠す」「補う」「偽る」ではない別の方向性もあるのだということを、子供達とともに自らにも諭す。 ありのままの自分をまず堂々とよしとする。 そこからスタートする戦い方もあるのだと、伝えておきたいと思うのだ。
先日、鏡を見たら、こめかみの辺りに短い白髪を見つけた。 よくある若白髪ではなくて、これは年齢相応の白髪の生え始めだなぁと思い至った。 幼い頃から自らの体型や美醜について、いろんなコンプレックスを友としてきた私にとって数少ない美点であった黒髪も、年齢とともに白髪が混じる。 年齢を重ねるということは、新たなコンプレックスの種をまた拾ってくるということでもある。 あっという間に、2本目3本目の白髪が見つかるようになるだろう。 「いやだなぁ」と思いつつ、多分私は生涯白髪を染めることはしないと思う。 黒髪のかわりに堂々と胸を張って誇れる「何か」を、今から少しづつ築きあげていけるだろうか。 若い子供達の成長を見守りながら、私の今日を振り返る。 四月は40歳になる母にとっても、何かが始まる旅立ちの季節だ。
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