月の輪通信 日々の想い
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2004年02月17日(火) 犬も喰わない

今朝から父さんは、沖縄へ出張。
あちらで開かれている展示会の会場行きと、取材が目的。
二泊三日。

出発前というのに昨晩些細な事で父さんと小さな行き違いがあって、
なんとなく笑顔で行ってらっしゃいとは言えない雰囲気で、
朝のあわただしさにまぎれて父さんを送り出した。
朝の家事を一通り済ませて、PCの前に座る。
メールを開くと父さんからの新着メール。
「今、空港。昨日はごめん。行ってきます。」
あ、しまった。
また、先を越されちゃった、と舌を出す。
ホントは私のほうが「ごめん」だったかもしれないのになぁ。
父さん、オトナじゃん。

不言実行の父さんを前に、理詰めできゃんきゃんまくし立てる私は、
口争いなら俄然強くなる。
自分の非は認めない。
父さんの言葉尻を捕らえて、すかさず、噛み付く。
最後はだんまりを決め込むか、けろっと忘れた振りをして一方的に争いに幕を引く。

「あたしは、意地が悪いですよ。それでもいいんですか。」
結婚前、私はクリームソーダを飲みながら、父さんに念を押した。
私と父さんは10歳違い。
さぞかし、夫の言うことに素直に従う従順な新妻を期待して結婚を決断したに違いない。
気の毒に・・・。
「結婚前に、私はちゃんと言いましたよね、私は意地が悪いって・・・]
今でも私は時々、父さんに念を押す。
「はいはい、そのとおり。」
と、へらへらやり過ごす父さんは確かに偉い。
「ごめん」と先手を打っておいて、私が頭を冷やすのを密かにじっくり参っているに違いない。

子供たちの前では、夫婦で言い争いする様は見せないように努めているが、
それでも成長した子供たちは父さん母さんの言い合いを聞き耳立てて、聞いている。
「今のはちょっと・・・」
PCに熱中しているとばかり思っていたアユコが、父さんの言葉を小耳に挟んで、つぶやいた。
オトナの話に首を突っ込むと叱られるとは知りつつも、
「もう知らない。」とさじを投げた父さんの一言に、厳しいツッコミ。
そうかそうか。
アユコはやっぱり、母さんの味方よね。
女同士の結束は強いんだものね。
弱った父さんに、頼みのオニイやゲンの応援はいまいち頼りない。

「今朝も寒いよ。
沖縄はさぞかし暖かいことでしょうねぇ。
せいぜいおいしいもの食べて、
しっかりお仕事してきたまえ。」
返信メールには、やっぱり「ごめん」の文字はなし。
あたしってほんとに意地が悪い。




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