月の輪通信 日々の想い
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2004年02月12日(木) 5歳児の理屈

朝、皆から送れてのろのろと朝ごはんを食べていたアプコ。
「ね、朝ごはんにこれ食べちゃだめ?」
アプコが指差しているのは先日おやつ用にと先日一緒に買ってきたコーンフレーク。
「だめだめ、さっさとお味噌汁食べちゃいなさい。」
我が家の朝ごはんは、いつでも大抵、白ご飯。
朝からぐちゃぐちゃ、牛乳がけコーンフレークなんかじゃ、力が出ない。
「でもTVでは、あさごはんにって言ってるよ。幼稚園のお友達だって・・・」
といいかけて、アプコは口ごもった。
朝食にコーンフレークを食べてくるお友達が思い浮かばなかったらしい。
お母さんにだって、「今朝はコーンフレーク食べてきたわ」なんてお友達いないもの。
「あのね、朝ごはんにコーンフレークを食べるのはきっとアメリカの人よ。
アプコは日本人だから、ご飯を食べていきなさい。」
「ふぅん。」
もそもそと冷めたお味噌汁を食べ始めたアプコ。
「ま、いいか。アタシ、チョコの方のコーンフレークは変なにおいがするから嫌い。」
「変なにおい?」
「うん、赤い粘土(おもちゃの小麦粉粘土)の匂いがするよ、だから今日はコーンフレーク、食べなくていいや。」
アプコよ、
それを「すっぱいぶどう」という。

園バスのおじちゃんにお手紙を書くのだといって、張り切って新しいレターセットの封を切った。
アプコのバスのおじちゃんは、とても絵の上手なおじちゃんで、
子供たちがたどたどしい字でお手紙を書くと、さらさらと筆ペンで子供らの好きそうな動物の絵を書いてお返事をくれるという。
一生懸命書いたお手紙を手に持って、登園するというので、
「落とすといけないから、かばんにいれておこうね。」
と通園リュックのポケットにいれた。
数日して、アプコのリュックにはおじちゃんへの手紙が前のまま収まっている。
「どうしたの、渡さなかったの?」
と聞くと、
「バスの中ではリュックを下ろしちゃいけないの。
バスのおじちゃんとはバスの中でしか会わないからわたせないの。」
はぁ、そうですか。
書いた手紙を頑固に「手に持っていく!」と主張していた理由がやっとわかった。

5歳児には5歳児の、やむにやまれぬ事情がある。
大人の目から見れば、あははと笑ってしまうピントはずれな理屈だけれど、
アプコの頭の中では何の矛盾もない、完結した主張なのだ。
「早く、早く」
「こうしたほうがいいでしょ!」
大人は大人の理屈で、効率よく子供の生活を取り仕切る。
それが最善と信じて疑わないけれど、子供たちの世界は別の理屈でまわっていることもある。
小さいアプコの中にさえ、私の思いもよらない価値観や世界観が日々着実に築かれている。
時には家事の手を止めて、小さな世界の秩序を学ぶ。
その面白さに、ようやく最近気づき始めた。







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