月の輪通信 日々の想い
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2004年01月13日(火) 2番目に欲しいもの

先日、お仕事で急に必要になったものがあって、久しぶりに車で町へ出た。
ついでだから、父さんの作業用の靴だとか、アユコのビーズのパーツとか、あれこれ買って超特急で帰ってきた。
買ってきたものをそれぞれ渡して、ふっと気がついた。
「アタシの物がなんにもない。」
年末、年始にかけて、あんなにあちこち走り回り、「誰かの為のもの」をいっぱいいっぱい買ったというのに、そういえば「わたしのためのもの」は靴下一枚買っていない。
なぁんだかな。
ちょっと悲しくなって、ためいきをついていたら、
「電子レンジ、買うんでしょ。」
とアユコが慰めてくれる。
たしかに結婚と同時に買った電子レンジ、そろそろ買い換えの予定。
それはそれで嬉しいんだけど、それってね、なんかわたしだけのものじゃない。
わたしが欲しいのはそんなものじゃないんだよ。

・・・・で、さて、わたしの欲しいものって何?
若い頃には欲しいもの、いっぱいあったよな。
きれいなヒールの靴、コートの色に合わせたスカーフ、お気に入りの作家の本。
かわいいイヤリング、ガラス細工のモビール。計り売りのオーデコロン。
今のわたしの欲しいもの。
普段履きの靴、エプロン兼用のトレーナー、
庭作業用のよく切れるカマ、PC用の足温器。
う〜ん、なんだか違う。
「わたしの欲しいもの」を数え上げるときのあの、ときめくような嬉しい気持ちが湧いてこない。
そもそも、絶対絶対欲しい!って気持ちがいまいち足りない。
だから、自分のものが買えないんだな。

アプコの好きそうなピンクのトレーナー、アユコの喜びそうなかわいい文房具。
ゲンの欲しがりそうな飛行機のおもちゃ、オニイの好きなパン、
「きっと喜ぶだろうな」ってお買い物をするのは楽しい。
別に「自分のものを我慢して・・・」って感覚もない。
これって、とっても幸せな事なんだけど、でも、それでいいのかな。

近頃気になるCM
彼が彼女に「ね、君の2番目に欲しいものはなに?」
彼女のツッコミ(一番だろ、普通)
結局、今の私の欲しいものって、所詮「2番目に欲しいもの」なんだな。
毎日の生活に必要に迫られてて、いつでも買えばいいんだけど、買ってもあんまりときめきそうにないもの。
それはそれで、買えばいいんだけど、なんだかつまらない。

「欲しいもの、買っちゃえば?」
父さんに背中を押されて、へそくり片手に買い物に出た。
田舎のスーパーをぐるぐる回って、結局買ったのはお買い得品のスニーカー一足。
あかん、小心者だなぁ。
しかも悲しいことに、普段履きのオンボロスニーカーを真新しい白いスニーカーに履き替えたら、それだけで結構、ときめいちゃうんだな。
「ちょっと山でも歩いてみるか」って気持ちになってしまうお買い得な私。
だめだめ。ちゃんとまじめに目を開けて、「一番欲しいもの」をさがさなくっちゃ。
まだまだ、「欲しいものはなぁんにも無い」なんて悟りの境地に入ってられない。

「あ、オカアサンの靴、ピッカピカ!」
アプコが新品の靴を見つけてピョンピョン跳ねる。
登園の道をいつもより軽い足取りで下っていく。
「オカアサン、新しい靴は速く歩けるの?」
ううん、気のせい、気のせい。
オカアサンはオトナだもん。
おニューの靴ぐらいで、ピョンピョン飛び跳ねたりしないもん。
・・・今日、オカアサンが歩くの、そんなに速い?


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