月の輪通信 日々の想い
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毎年恒例の焼き芋大会。
落ち葉を集めて、工房の庭でたき火をして、芋を焼く。
子ども達がそれぞれ学校の友達や剣道の友達を数人ずつ招待するので、幼稚園児から中学 生まで20人ほどの子どもと何人かのお母さん達が木の葉と戯れる。
落ち葉掻きと言っても我が家のこの時期の落ち葉の量は半端ではない。
ほんの数日、掃除しないでいると地面が見えないほどの厚い木の葉の絨毯できあがる。
子供らが熊手や竹箒で木の葉を集めて大きな段ボールにつめて運ぶ。
日頃、お掃除というと「うぇーっ」なる子ども達もその葉っぱの量の膨大さに笑っちゃうようで、 嬉々として働く。
大人だって、木の葉の乾いた音や子ども達の歓声が心地よくて、ついつい翌日の筋肉痛も恐 れず頑張ってしまう羽目になる。
集めた木の葉の山に子ども達が駆け上がる。
雪合戦ならぬ、木の葉合戦をする。
寝転がって頭まで木の葉に埋め合う。
せっかく集めた木の葉の山が、子供らの興奮でさんざんに散らかった頃、ぬれた新聞とホイル で包んだ芋を投入して、子供らが火をつける。
マッチで火をつけるという事も、近頃では子ども達の身の回りではあまり機会がないので、無 駄を承知で全員の子が何度もマッチを使う。
大きい子達は、さすがに学校の授業でマッチは使ったことがあるようだが、それでも自分の指 を焼かずにマッチの火を保つ持ち方や古紙に火を移すタイミングには
ちょっとあやしい所もあって、「現代の子だなぁ。」と思う。
ま、100円ライターがそこらじゅうに流通している今だから、マッチの扱いくらい些細な事なん だけれど・・・
芋が焼けるまでの一時間あまり。
子供らはおやつを食べたり、それぞれの遊びに興じたり。
年齢の違う子等が集まっているので、遊びの和の広がりもいつもとはちょっと違う。
大人達は火の回りに集まり、木の葉をくべたりうちわで火をいこしたりして、炎と遊ぶ。
大人ですら、たき火をしたり、火の番をしたりと言うことが生活の中から消えてしまって、炎を扱 う事が少なくなった。
「実家が昔、五右衛門風呂だった」と言うお母さんが初参加にも関わらず上手に火の管理をし てくれて、ほほうと感心する。
幼いときの日常の習慣は、こんな風に大人になってもちゃんと身についているものだなぁと思 う。
灰の中からごろごろと転がり出たお芋は焦げもせず、ほこほこと焼き上がり上出来上出来。
紙に包んで、あっちっちとみんなで食べる。
素朴な甘さに頬がゆるむ。
日が暮れかかり、炎の熱気のあとに夕暮れの冷たい風が通る。
十分遊んで、日が暮れて、
「楽しかった、そろそろおうちへ帰ろう。」
時計を見ずとも、誰からともなく人恋しくなる夕暮れ時。
楽しい焼き芋大会は散会となった。
子供らの成長とともに、参加するこどもの数も増え、手際よく作業がはかどるようになって来た 焼き芋大会。
「おばちゃん、来年も呼んでな。」
と帰っていく子ども達。
子ども達をだしに、木の葉と戯れ、炎に集う楽しみを、また来年も味わうことが出来そうだ。
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