小説集
2006年11月07日(火) :
17曲り角に消ゆ
アルフレッド・ミラー
その男は もう 前のディビッド・ボーマンではなかった。
いや、完全体になったわけではない。
まだ半人間半吸血鬼の不完全なデイブだった。
腕の中で眠るフランクを手渡してくる。
何も言えない。
デイブの考えていることは痛いほどわかる。
同じ人体模型(システム・スタッフ)、
共に戦い一時を一緒に過ごした相手だ。
何も言わない。
差し出されたフランクを受け取る。
デイブはくるりと向きを変えると暗闇の中へと姿を消していく。
もう二度と会えないだろう。
そんな予感がする。
もう二度と…