小説集
2005年10月06日(木) :
16 千代に八千代に
「永遠なんてものなんか ないさ」
あの男が言った言葉はそんな言葉だったか…
永遠
そんなものはない
わかっているが、人間から比べれば 彼らは永遠に近い
彼はその永遠の世界へといってしまった
「死」ではない
人間と
化け物と呼ばれる「吸血鬼」へと
千代に八千代に生きる存在へと
我々はそれすらかなわない
千代に八千代に
永遠の縁のない、
それでいて求めて恋焦がれる世界へ
彼は行ってしまったのだ
もう、違う時間を生きる存在へとなってしまったのだ