小説集
Past : Index : Will




2005年04月15日(金) : 題未定・2
 

「まぁいい …ニコラス下がっていろ」
「しかし 」
ギロリと睨まれ ニコラスは大人しく寝室から出て行った
「さて、邪魔はいなくなったわけだ」
アルフレッドは額に手を置いた。体力も、さっきの水のお陰で少しは回復し、胸のムカつきも薄れつつある。しかし 今はほぉっておいてほしかった
「…いいのか?次は あいつが… ここを継ぐんだろう」
「私はお前をするつもりだったが?
 お前はムラっ気があるが、あいつは感情でしか動かん。」
片腕を立て、口に持っていった親指の爪をガリガリと噛む父親から視線を外す。
嫌な癖。自分にもある、やめようと思っていても いつの間にかしてしまっている癖…
「煙草をくれ」
父親の動きが止まる
「何を言っている」
「俺はもう この家の人間じゃないんだ
 あんたに敬意を払う必要もねぇ あんたの命令を聞く必要もねぇ
 煙草は、あの服の内ポケットだ
 だろう?ハインツ・・・・
息子に名前を呼ばれたハインツは、肩をすくめると ハンガーにかけられてあった アルフレッドの式典用の軍服の内ポケットからラッキーズを取り出し、息子の少し開いた口に入れてやる
「私も1本貰うぞ?」
今度はアルフレッドが肩をすくめてみせた
「一口でいい 残りを吸ってくれ」

続く




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